65歳の男性。視床出血による左片麻痺。救急搬送され保存的治療が行われた。発症後3日より脳卒中ケアユニットでの理学療法を開始。このとき覚醒しておらず、大きな声で呼びかけたが開眼しなかったため胸骨部に痛み刺激を加えたところ、刺激を加えている手を払いのけようとする動きがみられた。この患者のJCS(Japan Coma Scale)での意識障害の評価で正しいのはどれか。
- Ⅱ-10
- Ⅱ-20
- Ⅱ-30
- Ⅲ-100
- Ⅲ-200
解答解説
正解は4. Ⅲ-100です。
解説
JCS(Japan Coma Scale)は、日本で広く用いられる意識障害の評価スケールで、以下のように分類されます:
- Ⅰ群(覚醒している):軽度の意識障害
- Ⅱ群(刺激で開眼する):声掛けや軽い刺激で開眼
- Ⅲ群(刺激しても開眼しない):痛み刺激に対してのみ反応
本症例では、大きな声で呼びかけても開眼せず、痛み刺激を与えた際に手を払いのける動きがみられたため、Ⅲ群に該当します。さらに、100番台は痛み刺激に対して四肢を動かす反応がある状態を指します。このことから、正しい評価はⅢ-100となります。
選択肢の解説
- Ⅱ-10(誤り)
Ⅱ-10は、呼びかけや軽い刺激で開眼する状態を指します。本患者は呼びかけに反応しないため該当しません。 - Ⅱ-20(誤り)
Ⅱ-20は、やや強い刺激で開眼する状態です。呼びかけではなく痛み刺激に反応しているため、これも該当しません。 - Ⅱ-30(誤り)
Ⅱ-30は、かなり強い刺激で開眼する状態です。本患者は開眼していないため不適切です。 - Ⅲ-100(正解)
痛み刺激に対して手を払いのける動きがみられたため、刺激に対して四肢を動かす反応を示すⅢ-100が正解です。 - Ⅲ-200(誤り)
Ⅲ-200は痛み刺激に対して全く反応がない状態を指します。本患者は痛み刺激に対して反応がみられるため、該当しません。
ワンポイントアドバイス
JCS(Japan Coma Scale)では、刺激に対する患者の反応を詳細に観察し、Ⅰ群・Ⅱ群・Ⅲ群のどれに該当するかを判断します。特に、Ⅲ群の場合は痛み刺激に対する反応(手足を動かすか、全く反応がないか)を正確に記録することが重要です。脳卒中ケアユニットでの評価では、呼吸や循環状態とともに意識レベルの変化をこまめにモニタリングしましょう。