3歳の男児。脳性麻痺による右片麻痺。背臥位から図のように起き上がる。影響する反射はどれか。
- Moro 反射
- Galant 反射
- 緊張性迷路反射
- 交差性伸展反射
- 非対称性緊張性頸反射
解答解説
正解は5. 非対称性緊張性頸反射です。
解説
脳性麻痺における原始反射の残存は、発達に影響を与えることが多く、日常生活動作(ADL)や運動機能に制限を生じる原因となります。背臥位からの起き上がり時に、片側の上肢が伸展し、もう片側が屈曲する動きは非対称性緊張性頸反射(ATNR: Asymmetric Tonic Neck Reflex)の影響を示唆しています。
各選択肢の解説
- Moro 反射(誤り)
- 新生児に見られる、急な刺激に対する全身の伸展反応ですが、生後4~6か月で消失するのが通常です。本例とは無関係です。
- Galant 反射(誤り)
- 背中を刺激すると、刺激された側に体幹が曲がる反射で、新生児期に見られます。脊柱側弯の評価に用いられますが、起き上がり動作には直接関与しません。
- 緊張性迷路反射(誤り)
- 体位によって筋緊張が変化する反射で、生後4~6か月で消失します。本例の動作には関係しません。
- 交差性伸展反射(誤り)
- 片方の足底を刺激すると、反対側の足が伸展する反射です。本例のような上肢の動きには関連しません。
- 非対称性緊張性頸反射(正解)
- 頸部を回旋すると、顔を向けた側の上肢が伸展し、反対側の上肢が屈曲する反射です。通常は生後4~6か月で消失しますが、脳性麻痺では残存し、起き上がりや他の動作に影響を与えます。
ワンポイントアドバイス
非対称性緊張性頸反射(ATNR)は「剣道の構え」のような姿勢を取る反射です。
- 正常では生後4~6か月で消失します。
- 残存すると、歩行や起き上がり動作の障害、手指操作の制限につながるため、注意が必要です。
このような原始反射の影響を考慮したリハビリテーションが重要です。