66歳の女性。左中大脳動脈領域のアテローム血栓性脳梗塞でBroca失語と重度の右片麻痺を認める。理学療法実施の際、コミュニケーションに対する配慮で正しいのはどれか。
- 使用頻度の低い単語を用いる。
- 出にくい言葉は先回りして言う。
- できるだけ長い文章で話しかける。
- 意思伝達には易しい漢字を用いる。
- ジェスチャーは可能な限り用いない。
解答解説
正解は4. 意思伝達には易しい漢字を用いるです。
Broca失語は非流暢性失語に分類され、言葉を発することが難しく、話し言葉が途切れ途切れになります。しかし、理解力は比較的保たれているため、簡単な漢字や短い言葉を活用することで意思疎通が円滑になります。視覚的な情報を補助として用いるのは、失語症患者への重要な配慮の1つです。
各選択肢の解説
- 使用頻度の低い単語を用いる。
使用頻度の低い単語は意味の理解が難しくなるため、Broca失語患者への配慮として適切ではありません。 短くて簡単な言葉を使うことが重要です。 - 出にくい言葉は先回りして言う。
患者の言葉を先回りして言うのは、患者の発話を阻害する可能性があるため適切ではありません。 患者が言葉を出す時間を十分に与え、焦らせないことが重要です。 - できるだけ長い文章で話しかける。
長い文章は情報量が多く、理解に時間がかかるため、Broca失語患者への配慮として不適切です。 短く簡潔な言葉で話すことが推奨されます。 - 意思伝達には易しい漢字を用いる。
正解です。視覚的情報である漢字は、Broca失語患者において理解を助けるツールとなります。 易しい漢字や絵、図示などを用いることで、意思疎通がスムーズになります。 - ジェスチャーは可能な限り用いない。
ジェスチャーは視覚的な補助手段として有効であり、積極的に用いるべきです。 ジェスチャーや身振り手振りは、言葉の代わりとして患者の理解を助けます。
ワンポイントアドバイス
Broca失語患者に対しては、短い言葉や易しい漢字、ジェスチャーを活用し、視覚的な情報を補足することが重要です。また、患者が言葉を発する時間を十分に与え、焦らせない配慮も大切です。 理解力が保たれている場合が多いので、患者の尊厳を重視した接し方を心がけましょう。