60歳の女性。転倒して右肩関節痛を訴えた。エックス線写真D別冊No.3Hを別に示す。まず患部に行うべき治療はどれか。
- ギプス固定
- 極超短波治療
- 三角巾固定
- 髄内釘固定
- 超音波治療
解答解説
正解は3. 三角巾固定です。
エックス線写真では、右肩関節で近位上腕骨骨折が疑われます。近位上腕骨骨折の初期治療では、痛みの緩和と患部の安静を目的として三角巾による固定が適切です。 三角巾固定は簡便で、早期に適用できるため、患部の安静保持に適しています。
各選択肢の解説
- ギプス固定
ギプス固定は長管骨骨折の固定に用いられることが多いですが、肩関節や近位上腕骨の骨折には適しません。 肩関節の自由度が妨げられ、かえって治療が困難になる場合があります。 - 極超短波治療
極超短波治療は、疼痛緩和や血流改善を目的とした物理療法の一つですが、骨折の急性期には適用されません。 初期治療としては適切ではないため不正解です。 - 三角巾固定
正解です。三角巾固定は、近位上腕骨骨折において初期治療として最も一般的であり、簡単に患部を安静に保つことができます。 早期の適用が可能であり、痛みを軽減させる効果もあります。 - 髄内釘固定
髄内釘固定は、骨折が著しく不安定な場合や骨片の転位が大きい場合に用いられる外科的手術法です。 画像所見だけでは外科手術の必要性は明確でなく、初期治療としては不適切です。 - 超音波治療
超音波治療は、骨癒合の促進を目的として慢性期や回復期に行われることが多いですが、急性期の初期治療としては適していません。
ワンポイントアドバイス
近位上腕骨骨折では、まず患部を安静に保ち痛みを軽減させる処置が重要です。三角巾固定は簡便で初期治療に適しています。その後、骨折の程度や転位の有無に応じてさらなる治療(リハビリテーションや手術など)が検討されます。