第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題45

呼吸障害に対する理学療法として、口すぼめ呼吸が有効なのはどれか。

  1. COPD
  2. 肺線維症
  3. 間質性肺炎
  4. 筋萎縮性側索硬化症
  5. Duchenne型筋ジストロフィー

解答解説

正解は1.COPDです。

口すぼめ呼吸は、呼気時に口をすぼめてゆっくり息を吐く方法で、COPD(慢性閉塞性肺疾患)に特に有効です。口すぼめ呼吸を行うことで、気道内圧が上昇し、末梢気道が閉塞するのを防ぎます。これにより、呼気量が増加し、息切れの軽減やガス交換の効率化が期待できます。

選択肢の解説

  1. COPD
    COPDでは末梢気道が閉塞しやすく、空気が肺に溜まる(過膨張)ため、口すぼめ呼吸で呼気の流れを整え、末梢気道を開存させる効果があります。この選択肢が正解です。
  2. 肺線維症
    肺線維症では、肺の柔軟性が失われるため、主に吸気障害が主体となります。口すぼめ呼吸は吸気障害に直接的な効果はありません。この選択肢は誤りです。
  3. 間質性肺炎
    間質性肺炎も、肺線維症と同様に肺の硬化が進み、吸気が困難になります。口すぼめ呼吸は効果が期待できません。この選択肢は誤りです。
  4. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
    ALSでは呼吸筋の筋力低下が進行しますが、気道閉塞の改善が目的ではないため、口すぼめ呼吸の効果は限定的です。この選択肢は誤りです。
  5. Duchenne型筋ジストロフィー
    Duchenne型筋ジストロフィーでは、主に呼吸筋の筋力低下による呼吸障害が問題になりますが、口すぼめ呼吸は筋力低下の補助としての効果は少ないです。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

口すぼめ呼吸は、末梢気道閉塞が主病態であるCOPDに特に有効です。
COPDの患者に対する口すぼめ呼吸の目的は以下の通り:

  • 呼気時の気道閉塞を防ぎ、空気の排出を促進。
  • 呼吸困難感を軽減。
  • 呼吸効率の改善。
    他の疾患(肺線維症、ALSなど)は病態が異なるため、適切な呼吸法を選択することが重要です。