脊髄完全損傷者の機能残存レベルと実用可能な能力の組合せで正しいのはどれか。
- 第3頸髄節――自発呼吸
- 第5頸髄節――プッシュアップ動作
- 第3胸髄節――自動車への移乗
- 第10胸髄節――両長下肢装具を用いての歩行
- 第12胸髄節――両短下肢装具を用いての歩行
解答解説
正解は3.第3胸髄節――自動車への移乗です。
脊髄損傷のレベルに応じた残存機能では、胸髄レベルの損傷では上肢機能がほぼ保たれ、車椅子を利用した移動や自動車への移乗が可能となる場合があります。第3胸髄節(T3)損傷では、上肢筋力が完全に保たれているため、自動車への移乗も可能です。
選択肢の解説
- 第3頸髄節――自発呼吸
第3頸髄節(C3)損傷では横隔膜(主にC4支配)の機能がほぼ失われるため、自発呼吸は困難で人工呼吸器が必要になります。この選択肢は誤りです。 - 第5頸髄節――プッシュアップ動作
第5頸髄節(C5)損傷では三角筋や上腕二頭筋が機能するものの、上腕三頭筋(C7支配)が機能しないため、プッシュアップ動作(体を持ち上げる動作)はできません。この選択肢は誤りです。 - 第3胸髄節――自動車への移乗
第3胸髄節(T3)損傷では、上肢機能が完全に保たれており、車椅子を利用して自動車への移乗が可能です。この選択肢が正解です。 - 第10胸髄節――両長下肢装具を用いての歩行
第10胸髄節(T10)損傷では、体幹のコントロールは可能ですが、両長下肢装具を用いた歩行(主に下肢筋力が必要)は難しい場合が多いです。この選択肢は誤りです。 - 第12胸髄節――両短下肢装具を用いての歩行
第12胸髄節(T12)損傷では体幹がさらに安定しますが、両短下肢装具での歩行にはL2(腸腰筋)以下の筋力が必要です。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
脊髄損傷の残存機能を評価する際は、損傷レベルの筋支配と機能を正確に覚えておくことが重要です。例えば:
- C3以上:人工呼吸器が必要。
- C5:上肢の屈曲(上腕二頭筋)が可能。
- C7:プッシュアップ動作が可能(上腕三頭筋が機能)。
- T1~T9:上肢機能が完全に保たれる。
残存能力に基づく実用的な活動を覚えておくことで、問題解答だけでなく臨床応用にも役立ちます。