27歳の男性。脊髄完全損傷D第胸髄節まで機能残存H。日常生活は車椅子使用にて自立している。設計事務所に勤務しており、長時間のデスクワークを行うことが多い。多忙のため除圧を行う機会が少なくなっている。この状況が続いた場合、褥瘡が生じる可能性が最も高い部位はどれか。
- 肩甲部
- 膝窩部
- 仙骨部
- 肘頭部
- 腸骨部
解答解説
正解は3. 仙骨部です。
脊髄損傷者は車椅子生活が多く、長時間座位を取ることで骨突出部に持続的な圧力がかかりやすい状態になります。特に仙骨部は、座位における体重の大部分が集中する部位であり、褥瘡が最も発生しやすい部位です。 除圧を怠ると皮膚と軟部組織への血流が低下し、壊死が生じる危険性があります。
各選択肢の解説
- 肩甲部
肩甲部は寝たきりの患者が仰臥位で長時間過ごす場合に褥瘡ができやすい部位です。 しかし、本症例のように車椅子生活で座位を中心とした場合には、肩甲部への圧力はあまり問題になりません。 - 膝窩部
膝窩部(膝の裏)は、長時間の座位やギプス装着など特定の状況で圧迫される場合にリスクがありますが、骨突出部ではないため褥瘡のリスクは低いです。 この患者の状況では該当しません。 - 仙骨部
正解です。仙骨部は座位で体重が集中する部位であり、除圧を怠ることで血流低下が起こり、褥瘡が生じやすくなります。 車椅子生活者では特に注意が必要な部位です。 - 肘頭部
肘頭部は肘をつく姿勢が頻繁に続く場合や、長時間の臥位(側臥位)で圧迫される場合に褥瘡のリスクがあります。 しかし、車椅子生活が中心の本症例では褥瘡ができるリスクは低いです。 - 腸骨部
腸骨部は側臥位で体重がかかる場合に褥瘡のリスクが高くなります。 しかし、座位中心の生活ではあまり圧力がかかる部位ではありません。
ワンポイントアドバイス
脊髄損傷者では、褥瘡予防のために定期的な除圧(座位では15~30分ごとに体重を軽減する)が推奨されます。特に仙骨部や坐骨部など、座位で体重が集中する部位は褥瘡が発生しやすいため、適切なクッションや姿勢管理が重要です。