第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題43

発症初期から易転倒性がみられるのはどれか。

  1. Charcot-Marie-Tooth病
  2. 筋萎縮性側索硬化症
  3. 進行性核上性麻痺
  4. 脊髄小脳変性症
  5. Parkinson病

解答解説

正解は3.進行性核上性麻痺です。

進行性核上性麻痺(PSP)は、初期から転倒を主訴とすることが特徴的な神経変性疾患です。特に、後方への突然の転倒が典型的です。これは、姿勢反射障害や重心の制御が初期から障害されるためです。

選択肢の解説

  1. Charcot-Marie-Tooth病
    Charcot-Marie-Tooth病は末梢神経障害により下肢筋力低下や感覚障害が起こりますが、発症初期では転倒は主症状ではありません。進行するにつれて、足の変形や歩行障害が現れることがあります。この選択肢は誤りです。
  2. 筋萎縮性側索硬化症
    筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上下肢の筋力低下や構音障害、嚥下障害などを特徴としますが、発症初期に易転倒性が主訴となることは稀です。進行に伴い、歩行障害が生じることがあります。この選択肢は誤りです。
  3. 進行性核上性麻痺
    進行性核上性麻痺(PSP)は、初期から姿勢保持や姿勢反射の障害が現れ、特に後方への突然の転倒がみられます。この点が他の疾患と異なる特徴です。この選択肢が正解です。
  4. 脊髄小脳変性症
    脊髄小脳変性症(SCD)は、小脳の障害による運動失調が主症状で、歩行障害は進行性に現れます。発症初期に転倒が顕著となることは少ないです。この選択肢は誤りです。
  5. Parkinson病
    Parkinson病は、姿勢保持障害や姿勢反射障害が進行すると転倒リスクが高まりますが、発症初期では通常、振戦や動作緩慢が主な症状です。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

易転倒性を伴う疾患を区別する際には、転倒のタイミングやパターンが重要です。

  • 進行性核上性麻痺:初期から後方転倒が特徴。
  • Parkinson病:中期以降に転倒が顕著になる。
  • 小脳疾患:ふらつきや運動失調が主体で、進行すると転倒。
    これらの特徴を整理して覚えると、鑑別が容易になります。