第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題28

膝関節伸展位で足背屈の関節可動域測定をしたところ、可動域制限が認められた。次に、膝関節屈曲位で測定したところ可動域制限は認められなかった。短縮している筋はどれか。

  1. 大直筋
  2. 大二頭筋長頭
  3. 半膜様筋
  4. 腓腹筋
  5. ヒラメ筋

解答解説

正解は4.腓腹筋です。

腓腹筋は膝関節を屈曲し、足関節を底屈する二関節筋です。膝関節伸展位では、腓腹筋が伸長されるため、足関節の背屈が制限されます。一方で、膝関節を屈曲すると腓腹筋の緊張が緩和されるため、足関節背屈の可動域制限がなくなります。この状況は腓腹筋の短縮が原因です。

選択肢の解説

  1. 大直筋
    大直筋(大腿直筋)は股関節を屈曲し、膝関節を伸展させる筋で、足関節には関与しません。足背屈の可動域制限とは無関係です。この選択肢は誤りです。
  2. 大二頭筋長頭
    大二頭筋長頭(大腿二頭筋長頭)は股関節を伸展し、膝関節を屈曲させる筋ですが、足関節には関与しません。この選択肢は誤りです。
  3. 半膜様筋
    半膜様筋は股関節を伸展し、膝関節を屈曲させる筋ですが、足関節には関与しません。この選択肢は誤りです。
  4. 腓腹筋
    腓腹筋は膝関節を屈曲し、足関節を底屈する二関節筋です。膝関節伸展位では腓腹筋が伸長され、足背屈が制限されますが、膝関節屈曲位では緊張が緩和され、足背屈が可能になります。この状況から腓腹筋の短縮が原因と判断できます。正解です。
  5. ヒラメ筋
    ヒラメ筋は足関節を底屈する筋ですが、膝関節をまたがない単関節筋です。そのため、膝関節の屈曲・伸展によって影響を受けることはなく、今回の可動域制限には該当しません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

二関節筋(腓腹筋など)が関与する場合、関節のポジションによる影響を考慮することが重要です。腓腹筋の短縮が疑われる場合は、膝関節伸展位での足背屈可動域制限がみられるが、膝関節屈曲位で改善するという特徴が現れます。関節ポジションの影響を理解して適切な評価を行いましょう。