第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題73

脊椎の回旋運動について正しいのはどれか。

  1. 上位頸椎に比べ下位頸椎で可動域が大きい。
  2. 腰椎に比べ胸椎で可動域が小さい。
  3. 胸鎖乳突筋は同側回旋に働く。
  4. 頭板状筋は同側回旋に働く。
  5. 中斜角筋は対側回旋に働く。

解答解説

正解は4.頭板状筋は同側回旋に働くです。

頭板状筋は頸部の背側に位置し、片側が収縮すると同側回旋に作用します。頸椎の回旋運動において、この筋は重要な役割を果たします。

選択肢の解説

  1. 上位頸椎に比べ下位頸椎で可動域が大きい。
    上位頸椎(特に環軸関節)は頸椎の回旋運動の大部分を担います。下位頸椎では回旋の可動域は限定的です。この選択肢は誤りです。
  2. 腰椎に比べ胸椎で可動域が小さい。
    胸椎は腰椎に比べて回旋可動域が大きいです。胸椎の椎間関節の構造が回旋に適しているためです。この選択肢は誤りです。
  3. 胸鎖乳突筋は同側回旋に働く。
    胸鎖乳突筋は対側回旋に作用します。例えば、右の胸鎖乳突筋が収縮すると、頭部は左に回旋します。この選択肢は誤りです。
  4. 頭板状筋は同側回旋に働く。
    頭板状筋は片側が収縮すると同側回旋を引き起こします。この選択肢が正解です。
  5. 中斜角筋は対側回旋に働く。
    中斜角筋は第1肋骨を引き上げる作用が主であり、回旋にはほとんど関与しません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

脊椎の回旋運動に関与する筋肉を整理しましょう:

  • 同側回旋:頭板状筋、頸板状筋、多裂筋(腰椎で同側回旋)。
  • 対側回旋:胸鎖乳突筋、外腹斜筋、多裂筋(胸椎・頸椎で対側回旋)。
  • 可動域の特徴
    • 上位頸椎(環軸関節)が回旋の中心。
    • 胸椎の回旋可動域は腰椎よりも大きい。
      これらをしっかり覚えておくと、脊椎運動に関する問題に対応しやすくなります。