第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題29

反復拮抗運動障害の検査法はどれか。

  1. 線引き試験
  2. 継ぎ足歩行
  3. 片足立ち検査
  4. 示指安耳朶試験
  5. 前腕回内外試験

解答解説

正解は5.前腕回内外試験です。

反復拮抗運動障害(ディスディアドコキネジア)は、小脳機能の障害により、反復的で滑らかな拮抗運動ができなくなる状態です。前腕回内外試験は、その障害を評価するための代表的な検査で、前腕を素早く回内・回外する動作を行わせることで、運動のスムーズさや正確さを確認します。

選択肢の解説

  1. 線引き試験
    線引き試験は、患者に紙上で直線を引かせ、その正確さやスムーズさを評価する検査です。主に運動失調や巧緻運動障害を評価するもので、反復拮抗運動障害の直接的な評価には用いられません。この選択肢は誤りです。
  2. 継ぎ足歩行
    継ぎ足歩行(タンデム歩行)は、患者に直線上でかかとをつま先に付けて歩かせ、小脳機能やバランス能力を評価する検査です。運動の滑らかさではなく、平衡機能の評価に用いられます。この選択肢は誤りです。
  3. 片足立ち検査
    片足立ち検査は、下肢のバランス能力を評価する検査で、小脳の平衡機能障害や深部感覚異常を検出するのに用います。反復拮抗運動障害の評価には直接関係しません。この選択肢は誤りです。
  4. 示指安耳朶試験
    示指安耳朶試験(フィンガー・トゥ・イヤー)は、患者に指を耳たぶに素早く正確に触れさせることで運動の正確さを評価する検査です。小脳失調の評価には適していますが、反復拮抗運動障害の直接的な評価ではありません。この選択肢は誤りです。
  5. 前腕回内外試験
    前腕回内外試験は、患者に前腕を素早く回内・回外する動作を行わせることで、運動のスムーズさや正確さを評価します。反復拮抗運動障害の評価に直接用いられる代表的な検査です。この選択肢が正解です。

ワンポイントアドバイス

反復拮抗運動障害(ディスディアドコキネジア)の評価には、前腕回内外試験や、他に手を膝の上で上下に叩く動作を観察する検査などが使われます。これらの検査を行う際は、動作の滑らかさやリズムの乱れを細かく観察することが重要です。小脳機能評価全般を理解しておくと関連問題に対応しやすくなります。