第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題2

心電図D別冊No.1Hを別に示す。この心電図の所見で正しいのはどれか。

  1. 心房細動
  2. 洞性徐脈
  3. 心室性期外収縮
  4. 心房性期外収縮
  5. Ⅰ度房室ブロック

解答解説

正解は4. 心房性期外収縮です。
心房性期外収縮(PAC)は、心房からの異常興奮が原因で発生します。この心電図では、早期に出現する異常なP波が見られ、続いて正常なQRS波が確認できます。 洞調律に割り込む形で現れる点が特徴であり、心房性期外収縮と診断できます。

各選択肢の解説

  1. 心房細動
    心房細動ではP波が消失し、心拍間隔が不規則になります。 この心電図では明確なP波が認められるため、心房細動とは一致しません。
  2. 洞性徐脈
    洞性徐脈は洞調律が維持されながら心拍数が低下した状態を指します。 心拍数が通常50回/分未満と定義されますが、この心電図では心拍数は正常範囲内であり、洞性徐脈には該当しません。
  3. 心室性期外収縮
    心室性期外収縮(PVC)は、異常な興奮が心室から発生するため、幅広く変形したQRS波が特徴です。 この心電図ではQRS波形は正常であるため、該当しません。
  4. 心房性期外収縮
    早期に異常なP波が出現し、その後のQRS波は正常形状である点が特徴です。 この心電図所見は心房性期外収縮の典型例と一致します。
  5. Ⅰ度房室ブロック
    Ⅰ度房室ブロックでは、PR間隔が0.2秒以上に延長します。 この心電図ではPR間隔が正常範囲内であり、Ⅰ度房室ブロックには該当しません。

ワンポイントアドバイス

心房性期外収縮(PAC)は、心電図上で通常より早く出現する異常なP波が特徴です。続くQRS波が正常形状である点が診断の決め手となります。 正常人でも発生することがあり、頻発しない場合は特に問題とならないことが多いですが、頻発する場合は基礎疾患の存在を考える必要があります。