第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題12

運動失調が認められる患者に対し、体幹回旋筋の同時収縮による座位姿勢安定性向上を目的として、図に示す運動を行った。この運動はどれか。

  1. コントラクト・リラックス〈contract-relax〉
  2. スローリバーサル
  3. ホールド・リラックス
  4. リズミック・スタビリゼーション
  5. リピーテッドコントラクション〈repeated contraction〉

解答解説

正解は4.リズミック・スタビリゼーションです。

リズミック・スタビリゼーションは、PNF(固有受容性神経筋促通法)の一つで、交互に異なる方向から抵抗を加えることで、患者の特定の姿勢を保持させるトレーニング方法です。体幹回旋筋など拮抗する筋群を同時に収縮させ、姿勢の安定性やバランス能力の向上を目的とします。図のように座位で行うことで、体幹の姿勢制御を強化する効果があります。

選択肢の解説

  1. コントラクト・リラックス〈contract-relax〉
    この方法は、特定の筋を収縮(コントラクト)させた後にリラックスさせ、可動域を拡大するために用いられるPNF手技です。柔軟性や関節可動域の改善を目的とするものであり、姿勢の安定性向上を目的とする今回の図の運動には該当しません。この選択肢は誤りです。
  2. スローリバーサル
    スローリバーサルは、拮抗する筋群を交互に収縮させることで筋力や可動域を改善するPNF手技です。動的な筋収縮が主体となる方法であり、今回のような静的安定性の向上を目的とする運動には該当しません。この選択肢は誤りです。
  3. ホールド・リラックス
    ホールド・リラックスは、筋の収縮(ホールド)とその後の弛緩(リラックス)を繰り返し、関節可動域や柔軟性を改善するPNF手技です。リズミック・スタビリゼーションのように姿勢安定性向上を目的とする方法ではありません。この選択肢は誤りです。
  4. リズミック・スタビリゼーション
    リズミック・スタビリゼーションは、静的な姿勢保持を目的として拮抗する筋群の同時収縮を促進する方法です。図のように理学療法士が交互に抵抗を加えることで、体幹筋の収縮を促し、座位姿勢の安定性を向上させます。正解です。
  5. リピーテッドコントラクション〈repeated contraction〉
    リピーテッドコントラクションは、筋力低下や動作不良を改善するために、特定の動作を反復して筋収縮を促す方法です。動的な動作強化を目的とするものであり、今回のような静的な姿勢安定の向上を目的とする運動には該当しません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

リズミック・スタビリゼーションは、PNFの静的安定性向上を目的とした手技で、運動失調やバランス不良がある患者に適用されます。特に、交互に抵抗を加えて姿勢を保持させることで、拮抗する筋群の同時収縮を促し、体幹や関節の安定性を高めます。PNFの手技と目的をしっかり整理して覚えておきましょう。