第58回

第58回理学療法士国家試験 午前問題20

74歳の女性。変形性膝関節症に対して人工膝関節全置換術が行われた。術後に使用するCPM装置で正しいのはどれか。

  1. 筋力増強を目的としている。
  2. 徐々に屈曲角度を大きくする。
  3. できるだけ速い速度で関節運動を行う。
  4. CPM装置の動きに抵抗するように力をかける。
  5. CPM装置は決められたアーム長のものを使用する。

解答解説

正解は 2. 徐々に屈曲角度を大きくする です。

CPM(Continuous Passive Motion)装置は、術後の関節拘縮予防や可動域改善を目的に使用されます。人工膝関節全置換術(TKA)の術後では、最初は安全な角度から始め、徐々に屈曲角度を大きくしていきます。これにより、関節の滑らかな動きを促進し、瘢痕組織の形成を抑えながら早期回復を目指します。

選択肢の解説

  1. 筋力増強を目的としている。
    この選択肢は誤りです。CPM装置は受動的な動きを提供するもので、筋力増強ではなく、関節可動域の改善や拘縮の予防を目的としています。
  2. 徐々に屈曲角度を大きくする。
    この選択肢が正解です。CPM装置の使用では、患者の状態に応じて屈曲角度を少しずつ拡大し、無理のない範囲で関節の可動域を広げていくのが正しい使用方法です。
  3. できるだけ速い速度で関節運動を行う。
    この選択肢は誤りです。CPM装置はゆっくりと一定の速度で動かすことで、術後の関節にかかるストレスを最小限に抑えます。速い速度での運動は適切ではありません。
  4. CPM装置の動きに抵抗するように力をかける。
    この選択肢は誤りです。CPM装置は受動的な運動を提供するため、患者が抵抗してしまうと関節に不要なストレスがかかり、回復が遅れる可能性があります。
  5. CPM装置は決められたアーム長のものを使用する。
    この選択肢は誤りです。CPM装置のアーム長は患者の下肢の長さに合わせて調整する必要があります。適切に調整しなければ効果的な運動ができません。

ワンポイントアドバイス

CPM装置は術後の膝関節可動域の改善を目指して用いる補助装置です。術後初期から無理なく使用し、徐々に屈曲角度を拡大していくのがポイントです。患者に痛みが出ないよう配慮しながら進めることが重要です。