68歳の女性。NYHA心機能分類classⅢの僧帽弁閉鎖不全症に対して経皮的僧帽弁形成術を受け、術後経過良好で退院することになった。退院時の運動機能評価として適切なのはどれか。
- クリニカルシナリオ分類
- マスターシングルテスト
- Nohria-Stevenson分類
- ハンドグリップテスト
- 6分間歩行テスト
解答解説
正解は5.6分間歩行テストです。
6分間歩行テストは、患者の運動耐容能や心肺機能を評価するために適した方法です。NYHA心機能分類class IIIに該当する患者では、運動耐容能の確認が重要です。このテストは、患者が自分のペースで歩行し、どれだけの距離を歩けるかを評価します。術後のリハビリ効果や日常生活での活動能力の指標にもなります。
各選択肢の解説
- クリニカルシナリオ分類
心不全の重症度を急性または慢性に基づいて分類する方法です。運動機能評価には直接関係がなく、退院時の運動能力の確認には適しません。 - マスターシングルテスト
心臓負荷試験の一種で、階段昇降を伴う負荷テストです。しかし、NYHA心機能分類class IIIの患者には負担が大きく、安全性に問題があるため不適切です。 - Nohria-Stevenson分類
心不全の血行動態を分類する方法で、主に治療方針の決定に用います。運動機能の直接評価には不向きです。 - ハンドグリップテスト
握力を測定するテストで、筋力や全身状態の指標にはなりますが、心肺機能や運動耐容能の評価としては限定的です。 - 6分間歩行テスト
運動耐容能を非侵襲的に評価できる標準的なテストです。患者の自己ペースで行えるため、安全性が高く、術後の運動機能評価として適切です。
ワンポイントアドバイス
6分間歩行テストは、心疾患患者の運動機能評価において広く用いられているテストです。このテストでは、事前に患者の安静時血圧や脈拍を確認し、安全な環境下で実施することが重要です。また、結果は治療効果の指標としても活用されます。