第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題66

近位尿細管に分泌されるのはどれか。

  1. H⁺
  2. K⁺
  3. Na⁺
  4. Ca²⁺
  5. HCO₃⁻(重炭酸イオン)

解答解説

正解は1です。

近位尿細管ではH⁺(水素イオン)が分泌されます。これは主に酸塩基平衡を調節するための重要な機能であり、H⁺の分泌と同時にHCO₃⁻(重炭酸イオン)が再吸収され、血液のpHを維持します。

各選択肢の解説

  1. H⁺(正解)
    正しい選択肢です。H⁺は近位尿細管で分泌され、尿中に排出されることで酸塩基平衡が維持されます。この分泌にはNa⁺/H⁺交換輸送体が関与しています。
  2. K⁺
    K⁺(カリウムイオン)は主に集合管で分泌されます。アルドステロンによる調節を受けるため、近位尿細管ではK⁺の分泌は行われません。この選択肢は誤りです。
  3. Na⁺
    Na⁺(ナトリウムイオン)は近位尿細管で再吸収される成分であり、分泌されることはありません。この選択肢は誤りです。
  4. Ca²⁺
    Ca²⁺(カルシウムイオン)は主に再吸収される成分であり、近位尿細管で分泌されることはありません。この選択肢は誤りです。
  5. HCO₃⁻(重炭酸イオン)
    HCO₃⁻は近位尿細管で再吸収される成分であり、分泌はされません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

腎臓の各部位での主な役割を覚えると理解が深まります:

  • 近位尿細管:H⁺の分泌、Na⁺、HCO₃⁻、グルコース、アミノ酸の再吸収。
  • ヘンレ係蹄:水とNa⁺の選択的再吸収。
  • 遠位尿細管および集合管:アルドステロンやバソプレシンによるNa⁺、水、K⁺の調節。

酸塩基平衡では、H⁺の分泌とHCO₃⁻の再吸収が重要な役割を果たします。