第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題61

遺伝情報伝達について正しいのはどれか。

  1. 染色体のDNAは三重鎖らせん構造をしている。
  2. DNAからtRNAへ塩基配列が転写される。
  3. リボソームRNAはスプライシングを受ける。
  4. mRNAの3つの塩基の組合せがアミノ酸を決定する。
  5. ゲノム上のイントロンの遺伝情報が蛋白へ翻訳される。

解答解説

正解は4です。

mRNAの3つの塩基(コドン)の組み合わせが、アミノ酸を指定するという遺伝暗号が存在します。このプロセスは翻訳(トランスレーション)と呼ばれ、リボソーム上でmRNAからタンパク質が合成されます。

各選択肢の解説

  1. 染色体のDNAは三重鎖らせん構造をしている。
    DNAは、二重らせん構造(ワトソンとクリックが発見)をしています。三重らせん構造ではありません。この選択肢は誤りです。
  2. DNAからtRNAへ塩基配列が転写される。
    DNAの塩基配列は、mRNAに転写されます。tRNAは翻訳過程で働く分子であり、転写の対象ではありません。この選択肢は誤りです。
  3. リボソームRNAはスプライシングを受ける。
    リボソームRNA(rRNA)は、RNAポリメラーゼによって転写された後、一部が修飾を受けますが、スプライシングは通常行われません。この選択肢は誤りです。
  4. mRNAの3つの塩基の組合せがアミノ酸を決定する。(正解)
    正しい選択肢です。mRNAの3つの塩基(コドン)は、遺伝暗号として各アミノ酸に対応しています。たとえば、AUGはメチオニン(開始コドン)を指定します。
  5. ゲノム上のイントロンの遺伝情報が蛋白へ翻訳される。
    イントロンは、mRNAの成熟過程(スプライシング)で除去されます。翻訳されるのはエクソン部分のみです。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

遺伝情報伝達(セントラルドグマ)を正しく理解するには、以下を押さえましょう:

  • 転写:DNA → mRNA。
  • 翻訳:mRNA → タンパク質(コドンをtRNAのアンチコドンが読み取る)。
  • スプライシング:mRNA前駆体からイントロンを除去し、成熟mRNAを作成。

この基礎知識は、分子生物学や医療分野の多くの応用に役立ちます。