第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題58

胸部の解剖について正しいのはどれか。

  1. 縦隔後面は心臓である。
  2. 肺栄養血管は肺動脈である。
  3. 区域気管支は左右5本ずつある。
  4. 胸骨柄と第3肋骨は関節を形成する。
  5. 臓側胸膜と壁側胸膜は連続している。

解答解説

正解は5です。

臓側胸膜と壁側胸膜は連続しており、胸膜腔を形成しています。臓側胸膜は肺表面を覆い、壁側胸膜は胸壁や横隔膜に付着しています。この構造により、滑らかな呼吸運動が可能になります。

各選択肢の解説

  1. 縦隔後面は心臓である。
    縦隔後面には心臓ではなく、食道、大動脈、奇静脈系、交感神経幹などが位置します。心臓は縦隔の中部(縦隔中央)に位置します。この選択肢は誤りです。
  2. 肺栄養血管は肺動脈である。
    肺動脈は、ガス交換を行うために静脈血を肺に送る血管であり、栄養血管ではありません。肺栄養血管は主に気管支動脈です。この選択肢は誤りです。
  3. 区域気管支は左右5本ずつある。
    区域気管支の本数は、右肺10本、左肺8〜10本(通常8本)です。5本ずつではありません。この選択肢は誤りです。
  4. 胸骨柄と第3肋骨は関節を形成する。
    胸骨柄は第1肋骨および第2肋骨(胸骨角付近)と関節を形成しますが、第3肋骨と直接の関節は形成しません。この選択肢は誤りです。
  5. 臓側胸膜と壁側胸膜は連続している。(正解)
    正しい選択肢です。臓側胸膜と壁側胸膜は連続しており、胸膜腔を形成します。この構造が、胸膜液による滑らかな肺の運動を可能にしています。

ワンポイントアドバイス

胸部解剖の理解を深めるには、以下を押さえましょう:

  • 縦隔の区分:前縦隔、中縦隔、後縦隔。
  • 肺血管の機能:肺動脈(ガス交換用)、気管支動脈(栄養血管)。
  • 胸膜構造:臓側胸膜と壁側胸膜の連続性と胸膜腔の役割。

これらの知識を基に、胸部の解剖学的構造を整理してください。