心臓リハビリテーションにおいて有酸素運動が勧められる理由として正しいのはどれか。
- 乳酸の蓄積
- 除脂肪体重の増加
- 交感神経活動の亢進
- HDLコレステロールの増加
- 血中カテコラミンの著しい増加
解答解説
正解は4です。
心臓リハビリテーションにおける有酸素運動は、心血管系の健康を改善し、動脈硬化や心疾患のリスクを低減する効果があるとされています。その一つの重要な効果が、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の増加です。HDLコレステロールは、動脈壁に蓄積したコレステロールを肝臓に運ぶ役割を持ち、心血管疾患の予防に重要な役割を果たします。
各選択肢の解説
- 乳酸の蓄積
有酸素運動では、エネルギー代謝に酸素を利用するため、乳酸の蓄積は抑制されます。乳酸が蓄積するのは、無酸素運動(例:高強度の短時間運動)の場合です。この選択肢は誤りです。 - 除脂肪体重の増加
有酸素運動の主な効果は心肺機能や脂質代謝の改善であり、筋肉量の増加(除脂肪体重の増加)は主にレジスタンストレーニングによって得られます。この選択肢は誤りです。 - 交感神経活動の亢進
有酸素運動は副交感神経の活性化を促し、心拍数や血圧の安定化に寄与します。交感神経活動の亢進は心疾患の悪化要因となるため、抑制することが望ましいです。この選択肢は誤りです。 - HDLコレステロールの増加
正しい選択肢です。有酸素運動はHDLコレステロールを増加させる効果があり、心血管リスクの軽減に有効です。動脈硬化の予防や改善に寄与します。 - 血中カテコラミンの著しい増加
有酸素運動中には軽度のカテコラミン増加が見られるものの、運動後は交感神経活動が抑制され、血中カテコラミンは低下します。カテコラミンの著しい増加はストレス反応として捉えられるため、有酸素運動ではむしろ抑えられるべきです。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
心臓リハビリテーションにおける有酸素運動の目的は、心肺機能や血管内皮機能の改善、脂質代謝の正常化です。特に、HDLコレステロールの増加と交感神経活動の抑制は、動脈硬化性疾患や心血管イベントの予防において重要な効果です。