重症筋無力症で正しいのはどれか。
- 過用に注意して運動は漸増負荷とする。
- 日内変動として午前中に症状が悪化する。
- 低頻度連続刺激の筋電図でwaxing現象がみられる。
- 運動神経末端からのアセチルコリン放出が障害される。
- クリーゼによる呼吸症状悪化は閉塞性換気障害で起こる。
解答解説
正解は1です。
重症筋無力症(MG: Myasthenia Gravis)は、神経筋接合部におけるアセチルコリン受容体に対する自己抗体の存在によって筋力低下を引き起こす疾患です。特に、運動後の筋疲労が顕著であり、運動負荷の調整が非常に重要です。
各選択肢の解説
- 過用に注意して運動は漸増負荷とする。(正解)
正しい選択肢です。重症筋無力症では、過剰な運動による疲労が症状を悪化させるため、負荷を徐々に増加させる漸増負荷が推奨されます。過度な運動や連続的な活動は避け、適切な休息を取りながら行う必要があります。 - 日内変動として午前中に症状が悪化する。
重症筋無力症の特徴として日内変動があり、午前中よりも午後から夕方にかけて症状が悪化することが一般的です。この選択肢は誤りです。 - 低頻度連続刺激の筋電図でwaxing現象がみられる。
重症筋無力症では、筋電図検査で低頻度連続刺激を行うと、waning現象(振幅の減少)が見られます。waxing現象(振幅の増加)はランバート・イートン症候群で見られる特徴です。この選択肢は誤りです。 - 運動神経末端からのアセチルコリン放出が障害される。
重症筋無力症の病態は、運動神経末端ではなく、アセチルコリン受容体の機能低下が主な原因です。アセチルコリン放出自体は正常であるため、この選択肢は誤りです。 - クリーゼによる呼吸症状悪化は閉塞性換気障害で起こる。
重症筋無力症のクリーゼでは、呼吸筋の麻痺によって拘束性換気障害が生じ、呼吸困難を引き起こします。閉塞性換気障害は気道狭窄が主な原因であり、病態が異なります。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
重症筋無力症では、筋疲労が症状を悪化させるため、運動負荷の管理が重要です。また、日内変動や筋電図でのwaning現象、クリーゼ時の拘束性換気障害など、特徴的な病態を正確に理解しておくことで、適切なリハビリテーション計画を立てることができます。