温熱療法を避けるべき疾患はどれか。
- 多発性筋炎
- Parkinson病
- 視神経脊髄炎
- 亜急性連合性脊髄変性症
- Charcot-Marie-Tooth病
解答解説
正解は3です。
視神経脊髄炎(NMO: Neuromyelitis Optica)は、中枢神経系の脱髄疾患であり、高温や体温上昇によって症状が一時的に悪化するウートフ現象が見られることがあります。このため、温熱療法は避けるべきです。温熱療法による体温上昇は、神経伝導の障害を増悪させ、視力低下や運動障害などの症状を誘発する可能性があります。
各選択肢の解説
- 多発性筋炎
多発性筋炎は筋肉の炎症性疾患で、温熱療法は血流促進や疼痛軽減に役立つ場合があります。ただし、急性炎症期には炎症を悪化させる可能性があるため注意が必要です。この選択肢は誤りです。 - Parkinson病
Parkinson病では、筋硬直や動作緩慢が主な症状であり、温熱療法は筋緊張の軽減や関節可動域の改善に有効とされています。この選択肢は誤りです。 - 視神経脊髄炎(正解)
正しい選択肢です。視神経脊髄炎では、温熱療法や体温上昇による症状悪化のリスクがあるため、温熱療法を避けるべきです。特にウートフ現象に注意が必要です。 - 亜急性連合性脊髄変性症
亜急性連合性脊髄変性症はビタミンB12欠乏による脊髄後索と側索の障害ですが、温熱療法が直接的に悪影響を及ぼすことはありません。この選択肢は誤りです。 - Charcot-Marie-Tooth病
Charcot-Marie-Tooth病は末梢神経障害を伴う遺伝性疾患で、温熱療法は末梢循環を改善し、筋肉の柔軟性を高める目的で用いることができます。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
温熱療法は多くの疾患で有効ですが、中枢神経系疾患の一部(例:視神経脊髄炎、多発性硬化症など)では体温上昇による症状悪化が懸念されるため注意が必要です。治療を開始する前に、患者の疾患特性や状態を十分に把握して適切な方法を選択しましょう。