第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題41

腰椎椎間板ヘルニアの保存療法後の理学療法で誤っているのはどれか。

  1. 四つ這い位で一側下肢を挙上する。
  2. 腸腰筋の短縮がある場合は伸張する。
  3. 端座位で骨盤の前後傾運動をゆっくり行う。
  4. 就寝時は側臥位で腰椎伸展位をとるよう指導する。
  5. パピーポジションで腰椎伸展位をとるよう指導する。

解答解説

正解は4です。

腰椎椎間板ヘルニアの保存療法後では、腰椎の伸展位を避けることが基本です。側臥位で腰椎伸展位をとるよう指導するのは、椎間板への負荷を増加させ、症状を悪化させる可能性があるため誤っています。

各選択肢の解説

  1. 四つ這い位で一側下肢を挙上する。
    正しい選択肢です。この運動は、体幹筋(特に多裂筋や腹横筋)の安定性を高める運動であり、腰椎の過剰な動きを制御するために有効です。ただし、疼痛が誘発される場合は無理に行わないよう指導します。
  2. 腸腰筋の短縮がある場合は伸張する。
    正しい選択肢です。腸腰筋の短縮は骨盤前傾を引き起こし、腰椎の過剰な前弯を助長するため、適切に伸張することで腰椎への負荷軽減が期待されます。
  3. 端座位で骨盤の前後傾運動をゆっくり行う。
    正しい選択肢です。骨盤の前後傾運動は、腰椎の可動性改善や姿勢制御の向上を目的に行います。痛みを伴わない範囲でゆっくり行うことで、理学療法として適切です。
  4. 就寝時は側臥位で腰椎伸展位をとるよう指導する。(正解)
    誤った選択肢です。腰椎椎間板ヘルニアでは、腰椎伸展位は椎間板への圧力を増加させ、症状を悪化させる可能性があります。就寝時の側臥位では、膝と股関節を軽く屈曲した体勢が腰椎の負担を軽減するため適しています。
  5. パピーポジションで腰椎伸展位をとるよう指導する。
    正しい選択肢です。パピーポジション(四つ這い位で腰を沈める体勢)は、腰椎の圧迫を軽減し、腰部の緊張を和らげるのに効果的です。ただし、腰椎過伸展を避けるよう調整します。

ワンポイントアドバイス

腰椎椎間板ヘルニアの理学療法では、椎間板への負荷を減らし、体幹筋の安定性を高める運動が重要です。就寝時や姿勢指導では、腰椎のニュートラルポジションを保つことが症状改善に役立ちます。患者の症状に応じた個別対応を心がけましょう。