第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題35

筋萎縮性側索硬化症で正しいのはどれか。

1.深部感覚が障害されやすい。
2.認知機能が障害されやすい。
3.筋萎縮は四肢の遠位に著しい。
4.眼球運動が早期に障害されやすい。
5.動脈血二酸化炭素分圧が低下しやすい。

正解は3です。

解答解説

正解は 3.筋萎縮は四肢の遠位に著しい です。

  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、筋萎縮が進行する中で、特に四肢の遠位部(手指や前腕、下腿や足など)に顕著に筋萎縮が現れやすいです。ALSは運動ニューロンが障害される疾患であり、初期には四肢の遠位に筋力低下や筋萎縮が出現し、その後、全身へと進行します。

選択肢の解説

  1. 深部感覚が障害されやすい
    誤りです。ALSでは、主に運動ニューロンが障害されるため、感覚障害は一般的に見られません。深部感覚や表在感覚は基本的に保たれることが多いです。
  2. 認知機能が障害されやすい
    誤りです。ALSは主に運動機能に影響を与える疾患ですが、一部の患者では認知機能障害が見られることもあります。ただし、一般的には認知機能の障害は多くなく、認知症といった重度の認知機能低下は稀です。
  3. 眼球運動が早期に障害されやすい
    誤りです。ALSでは、眼球運動は比較的保たれることが多く、末期になるまで障害が見られないことが一般的です。これがALSと他の神経疾患との鑑別点にもなります。
  4. 動脈血二酸化炭素分圧が低下しやすい
    誤りです。ALSが進行すると、呼吸筋の筋力低下により呼吸機能が低下し、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)はむしろ上昇する傾向があります。これは、呼吸困難による換気不足が原因で、低下することはありません。

ワンポイントアドバイス

ALSでは、四肢の遠位から筋力低下と筋萎縮が始まることが多く、感覚や眼球運動が比較的保たれるのが特徴です。呼吸筋も徐々に障害され、呼吸不全が進行するため、PaCO₂の上昇が見られます。ALSの特徴的な症状と進行のパターンを理解しておくことが重要です。