熱傷部位の皮膚で正しいのはどれか。
1.壊死組織は赤色を呈する。
2.Ⅲ度熱傷は汗腺まで達しない。
3.Ⅰ度熱傷部位は植皮術を要する。
4.感染を伴うと植皮の生着が阻害される。
5.植皮後は知覚が回復してから運動を開始する。
正解は4です。
解答解説
正解は 4.感染を伴うと植皮の生着が阻害される です。
- 感染が植皮部位に発生すると、炎症反応が起こり、組織の壊死や拒絶反応を引き起こす可能性があり、これにより植皮の生着が阻害されます。感染管理は植皮後の治療において非常に重要であり、感染を防ぐことで植皮した皮膚の生着が安定し、治癒を促進します。
選択肢の解説
- 壊死組織は赤色を呈する
誤りです。壊死組織は通常、黒色や褐色を呈します。赤色は炎症や浅い熱傷(Ⅰ度熱傷など)で見られる色であり、壊死組織が赤色になることはありません。壊死組織は酸素供給が断たれているため、暗い色を呈するのが一般的です。 - Ⅲ度熱傷は汗腺まで達しない
誤りです。Ⅲ度熱傷(全層熱傷)は皮膚の真皮全層を超え、皮下組織まで達することが多く、汗腺や毛根も損傷されます。Ⅲ度熱傷では皮膚の深部構造が破壊されるため、汗腺まで影響を受けるのが一般的です。 - Ⅰ度熱傷部位は植皮術を要する
誤りです。Ⅰ度熱傷は皮膚の表層(表皮層)のみが損傷される浅い熱傷であり、通常は自然治癒します。Ⅰ度熱傷では植皮を必要とすることはありません。植皮が必要なのは、通常、Ⅱ度深層やⅢ度熱傷のように皮膚の損傷が深い場合です。 - 感染を伴うと植皮の生着が阻害される
正解です。感染があると、植皮部位の組織が炎症を起こし、拒絶反応や壊死を引き起こす可能性が高まり、生着がうまくいかなくなります。そのため、植皮後の感染管理が非常に重要です。感染予防によって植皮した皮膚の生着が安定しやすくなり、治療が促進されます。 - 植皮後は知覚が回復してから運動を開始する
誤りです。植皮後は、知覚が完全に回復する前でも、適切なタイミングで運動や関節可動域訓練を開始することが推奨されます。早期に運動を開始することで、関節拘縮や筋力低下を予防し、リハビリテーション効果を高めます。知覚回復を待ってからではなく、医師の指導のもとで早期にリハビリを行います。
ワンポイントアドバイス
熱傷治療では、感染管理が非常に重要です。特に植皮後は感染が生着に悪影響を与えるため、感染予防に努めます。また、植皮後のリハビリテーションは知覚回復を待たずに早期から開始することが推奨され、これによって関節の拘縮や運動機能低下を防ぐことができます。各熱傷の深度と治療法の違いも理解しておきましょう。