第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題26

関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準)における運動方向と代償運動の組合せで正しいのはどれか。

  1. 肩外旋   体幹側屈
  2. 肩外転   体幹回旋
  3. 肩屈曲   体幹伸展
  4. 股屈曲   骨盤後傾
  5. 股伸展   骨盤側方傾斜

解答解説

正解は3と4です。

関節可動域測定では、測定対象の関節にのみ動作を集中させる必要があります。代償運動は本来測定している動作以外の不随意運動や姿勢の変化を指し、これらを最小限に抑えることが正確な測定には重要です。以下に各選択肢について解説します。

各選択肢の解説

  1. 肩外旋 体幹側屈
    肩外旋の代償運動としては肩甲骨の挙上体幹の回旋が見られることが一般的です。体幹の側屈は通常見られないため、この選択肢は誤りです。
  2. 肩外転 体幹回旋
    肩外転の代償運動では肩甲骨の挙上体幹の側屈が一般的です。体幹の回旋は代償として通常見られないため、この選択肢は誤りです。
  3. 肩屈曲 体幹伸展(正解)
    正しい選択肢です。肩屈曲では、肩関節の可動域が制限されると体幹を後方に伸展させることで代償する場合があります。この代償運動はよく見られる典型的なパターンです。
  4. 股屈曲 骨盤後傾(正解)
    正しい選択肢です。股関節の屈曲可動域が制限されると、骨盤が後傾することで代償する場合があります。この代償運動は特に股関節屈曲の測定時に注意が必要です。
  5. 股伸展 骨盤側方傾斜
    股関節伸展の代償運動では腰椎の過伸展が主に見られます。骨盤の側方傾斜は代償運動としては一般的ではないため、この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

関節可動域測定では、代償運動を防ぐための適切な固定が重要です。測定対象の関節以外の部位に手を添えることで、代償を最小限に抑えることができます。特に体幹や骨盤の動きには注意を払い、正確な測定を心がけましょう。