60歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅢ、クラスで寛解状態
であり安定している。
理学療法士が行う生活指導について誤っているのはどれか。
- 歩容に応じた足底板を調整する。
- 頸椎の等張性抵抗運動を励行する。
- 変形防止用のスプリントを用いる。
- 再燃の急性炎症期には運動を避ける。
- 大関節を使う関節保護方法を指導する。
解答解説
正解は2です。
関節リウマチのステージⅢでは関節破壊が進行しているため、頸椎を含む関節の構造が不安定になっている可能性があります。特に頸椎の不安定性(環軸椎亜脱臼など)が存在する場合、頸椎に負担をかける等張性抵抗運動は危険であり、禁忌とされています。そのため、この指導は誤っています。
各選択肢の解説
- 歩容に応じた足底板を調整する。
関節リウマチによる足関節の変形や歩行障害を補助するために、足底板の調整は有効な対策です。これにより痛みの軽減や歩行の安定性が向上します。この選択肢は適切です。 - 頸椎の等張性抵抗運動を励行する。(正解)
誤った選択肢です。頸椎に負担をかける運動は、関節破壊や不安定性がある場合に非常に危険です。特に環軸椎亜脱臼が存在する可能性がある場合、頸椎への負荷は避けるべきです。 - 変形防止用のスプリントを用いる。
関節の変形防止を目的として、夜間や休息時にスプリントを使用することは、関節リウマチの管理において有効です。この選択肢は適切です。 - 再燃の急性炎症期には運動を避ける。
急性炎症期には、炎症を悪化させないために患部を安静に保つことが重要です。炎症が落ち着いてから段階的に運動を再開するのが適切です。この選択肢は適切です。 - 大関節を使う関節保護方法を指導する。
関節保護の指導では、小関節に過剰な負担をかけないよう、大関節を使って動作を行う方法を指導することが重要です。これにより関節の変形進行を予防できます。この選択肢は適切です。
ワンポイントアドバイス
関節リウマチの患者には、関節への負荷を最小限にすることが重要です。特に頸椎に関しては、関節破壊や不安定性が存在する可能性が高いため、頸椎への抵抗運動は禁忌です。適切な運動療法と生活指導を通じて、関節の変形進行を防ぎながら生活の質を向上させることが目標です。