6歳の女児。顕在性二分脊椎。機能残存レベルは第腰髄である。
歩行練習の実施方法で適切なのはどれか。
- 靴型装具を使用する。
- 短下肢装具と杖を併用する。
- 短下肢装具のみを使用する。
- 長下肢装具と杖を併用する。
- 骨盤帯付き長下肢装具と歩行器を併用する。
解答解説
正解は2と3です。
機能残存レベルが第4腰髄(L4)の場合、大腿四頭筋が動作可能であるため、膝を安定させて歩行練習を行うことができます。このレベルでは、短下肢装具(AFO:足関節装具)を使用して足部と足関節の安定性を補助し、歩行練習を進めるのが適切です。杖の併用は患者のバランスや安全性を確保する場合に必要になります。
各選択肢の解説
- 靴型装具を使用する。
靴型装具は足部の軽度な変形や支持力を補助するために使用されますが、L4レベルでは足関節や膝の安定性が十分でない場合が多いため、これだけでは歩行練習には適しません。この選択肢は誤りです。 - 短下肢装具と杖を併用する。(正解)
正しい選択肢です。短下肢装具(AFO)は、足関節の背屈を補助し、膝関節を安定させるために使用します。杖を併用することで、バランス能力が低い場合や筋力が不十分な場合に安全に歩行練習が行えます。 - 短下肢装具のみを使用する。(正解)
正しい選択肢です。短下肢装具は、L4レベルの機能を持つ患者にとって足関節の補助として十分です。患者が十分なバランス能力を持っていれば、杖を使用しなくても歩行練習が可能です。 - 長下肢装具と杖を併用する。
長下肢装具は膝の支持が難しい場合や、大腿筋群に麻痺があるL3レベル以下の患者で使用されます。L4レベルの患者には長下肢装具は過剰な支援となり、負担が大きくなるため適切ではありません。この選択肢は誤りです。 - 骨盤帯付き長下肢装具と歩行器を併用する。
骨盤帯付き長下肢装具は、L1〜L3レベルなどで下肢全体の筋力が大きく低下している場合に使用します。L4レベルの患者は大腿四頭筋が働くため、このような高度な装具や歩行器は必要ありません。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
L4機能残存レベルでは、大腿四頭筋が機能するため膝関節の伸展は可能です。しかし、足関節の支持力が不足する場合が多いため、短下肢装具(AFO)を使用して歩行の安定性を高めることが一般的です。杖の併用は個々の患者のバランス能力に応じて判断します。