第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題12

左側臥位の胸部CT(別冊No. 2)を別に示す。
肺が拡張し、最も含気が多いと考えられるのはどれか。

解答解説

正解は1です。

左側臥位の胸部CT画像では、重力の影響により非荷重側(上側)の肺が最も含気量が多くなります。具体的には、右肺上部にあたる①の部分が最も拡張し、含気が多いと考えられます。一方、荷重側(下側)の肺は重力による圧迫を受け、含気量が減少します。

各選択肢の解説

  1. (正解)
    正しい選択肢です。①は右肺上部にあたり、非荷重側(上側)に位置しているため、重力の影響を受けず、肺胞が最大限に拡張します。その結果、含気が最も多くなります。

  2. ②は右肺中部にあたりますが、①に比べてやや重力の影響を受ける位置にあります。そのため、含気量は①より少ないと考えられます。

  3. ③は気管分岐部(主気管支)付近であり、含気というよりも空気の流通の要所にあたります。この部位自体が特に多く拡張するわけではありません。

  4. ④は左肺下部であり、荷重側(下側)に位置します。重力の影響を受けて肺が圧迫されるため、含気量は少なくなります。

  5. ⑤は左肺基底部で、④と同様に荷重側に位置しています。重力の影響により肺が圧迫され、含気量はさらに減少します。

ワンポイントアドバイス

肺の含気量は重力の影響を強く受けます。非荷重側(上側)の肺が拡張し、含気が多いのに対し、荷重側(下側)の肺は圧迫されて含気が減少します。この原則は側臥位での換気効率や理学療法の体位ドレナージを考える際に重要なポイントです。