第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題32

股関節の屈曲拘縮を調べるテストはどれか。

1.Adsonテスト
2.Jacksonテスト
3.Lachmanテスト
4.Neerテスト
5.Thomasテスト

正解は5です。

解答解説

正解は 5.Thomasテスト です。

  • Thomasテストは、股関節の屈曲拘縮を調べるためのテストです。患者を仰向けに寝かせ、片側の膝を抱え込むように屈曲させて胸に引き寄せると、対側の股関節に屈曲拘縮がある場合、抱え込んでいない方の大腿がベッドから浮き上がります。この浮き上がりがあると、股関節屈曲拘縮が疑われます。

選択肢の解説

  1. Adsonテスト
    • 概要: 上肢を後方に引き、患者に深呼吸をさせながら頭を回旋させることで、鎖骨下動脈の狭窄を確認するテストです。
    • 見られる病態: 胸郭出口症候群で陽性となることがあります。特に、鎖骨下動脈や腕神経叢が圧迫されるタイプの胸郭出口症候群の評価に使用されます。
  2. Jacksonテスト
    • 概要: 頚椎を側屈させた状態で圧迫を加え、神経根に対する圧迫の有無を確認するテストです。
    • 見られる病態: 頚椎神経根症の診断に用いられます。圧迫により放散痛やしびれが生じる場合、神経根が圧迫されている可能性があります。
  3. Lachmanテスト
    • 概要: 膝関節を軽度屈曲させ、脛骨を前方に引き出すことで前十字靱帯(ACL)の損傷を確認するテストです。
    • 見られる病態: 前十字靱帯損傷で陽性になります。脛骨が前方に引き出されやすい場合、ACLが損傷している可能性があります。
  4. Neerテスト
    • 概要: 肩関節を挙上して腕を内旋させることで、肩峰下でのインピンジメントを確認するテストです。
    • 見られる病態: 肩インピンジメント症候群で陽性になります。肩関節の挙上と内旋により痛みが生じた場合、肩峰下インピンジメントの可能性が疑われます。
  5. Thomasテスト
    • 概要: 仰向けの状態で片側の膝を抱え込むように屈曲させ、対側の大腿が浮き上がるかどうかを確認するテストです。
    • 見られる病態: 股関節屈曲拘縮の評価に用いられます。片側の膝を抱え込んで胸に引き寄せた際、反対側の大腿が浮き上がる場合、股関節の屈曲拘縮が疑われます。

ワンポイントアドバイス

整形外科やリハビリテーションの評価には、多くの特殊テストがあります。Thomasテストは股関節の屈曲拘縮の評価に特化したテストですが、他のテストも各関節や神経の評価に用いられるため、どのテストがどの病態に関連しているかを把握しておくと、鑑別診断の際に役立ちます。