第58回

第58回理学療法士国家試験 午前問題10

60歳の女性。図のような状態で右中指の使いづらさを訴え受診した。自動関節可動域角度は、DIP屈曲45°、伸展30°、PIP屈曲90°、伸展-45°、MP屈曲80°、伸展0°であった。この指の変形はどれか。

  1. Z変形
  2. 鉤爪変形
  3. ボタン穴変形
  4. Krukenberg変形
  5. スワンネック変形

解答解説

正解は3. ボタン穴変形です。

ボタン穴変形(Boutonnière変形)は、PIP関節が屈曲し、DIP関節が過伸展している状態が特徴です。問題文のPIP関節の屈曲90°と伸展-45°、DIP関節の屈曲45°と伸展30°という所見が典型的なボタン穴変形を示しています。これは、PIP関節の伸展機構である中央索の断裂や損傷により生じます。

各選択肢の解説

  1. Z変形
    この選択肢は誤りです。Z変形は、母指のMP関節が過屈曲し、IP関節が過伸展する変形です。今回の指の状態には当てはまりません。
  2. 鉤爪変形
    この選択肢は誤りです。鉤爪変形は、DIP関節とPIP関節が共に屈曲し、MP関節が過伸展する変形です。神経麻痺が原因で生じることが多く、今回の所見には一致しません。
  3. ボタン穴変形
    この選択肢が正解です。ボタン穴変形は、PIP関節が屈曲しDIP関節が過伸展する状態です。問題文の可動域角度と図がこれを示しています。PIP関節伸展機構の障害が原因です。
  4. Krukenberg変形
    この選択肢は誤りです。Krukenberg変形は、前腕切断後に尺骨と橈骨を離開し、把持機能を補助する手術後の状態を指します。この問題には関係がありません。
  5. スワンネック変形
    この選択肢は誤りです。スワンネック変形は、PIP関節が過伸展し、DIP関節が屈曲する状態です。今回のPIP関節の屈曲-45°という所見には一致しません。

ワンポイントアドバイス

ボタン穴変形(Boutonnière変形)は、PIP関節の屈曲とDIP関節の過伸展が特徴です。主な原因はPIP関節伸展機構の中央索の損傷です。この変形は関節リウマチや外傷で生じやすいので、臨床所見と可動域の特徴をしっかり覚えておきましょう。確に理解しておくことが試験対策に有効です。