第58回

第58回理学療法士国家試験 午前問題9

55歳の女性。趣味でジョギングを行っている。変形性膝関節症に対して手術療法が行われた。術後のエックス線写真(別冊No. 3)を別に示す。術後の理学療法で正しいのはどれか。

  1. 金属を抜いてからスポーツ復帰する。
  2. 骨癒合が得られるまで完全免荷とする。
  3. 術後から外側が高い楔状足底挿板を使用する。
  4. 術後早期から大腿四頭筋の筋力増強運動を行う。
  5. 術後2週の安静後に患側膝関節の可動域練習を開始する。

解答解説

正解は4. 術後早期から大腿四頭筋の筋力増強運動を行うです。

この患者に対して行われた手術は高位脛骨骨切り術(HTO:High Tibial Osteotomy)と考えられます。HTOは変形性膝関節症における荷重軸を調整するための手術です。術後早期から大腿四頭筋の筋力増強運動を行うことは、関節の安定性向上や歩行の改善に役立ちます。適切な運動療法は、術後の早期回復を促進します。

各選択肢の解説

  1. 金属を抜いてからスポーツ復帰する。
    この選択肢は誤りです。金属(プレート)を抜去する時期は症例によって異なり、必ずしもスポーツ復帰の条件ではありません。骨癒合が確認されていれば、金属抜去前でも活動を再開できます。
  2. 骨癒合が得られるまで完全免荷とする。
    この選択肢は誤りです。HTO後は、完全免荷ではなく部分荷重から段階的に進めることが一般的です。完全免荷は筋力低下や骨癒合の遅延につながる可能性があります。
  3. 術後から外側が高い楔状足底挿板を使用する。
    この選択肢は誤りです。HTOでは骨切りによる荷重軸の再調整が行われるため、術後の足底挿板使用は基本的に不要です。
  4. 術後早期から大腿四頭筋の筋力増強運動を行う。
    この選択肢が正解です。術後早期から大腿四頭筋の筋力強化を行うことで、膝関節の安定性を高め、術後の歩行や日常生活動作の早期改善を促進します。
  5. 術後2週の安静後に患側膝関節の可動域練習を開始する。
    この選択肢は誤りです。HTO後のリハビリテーションでは、術後早期から膝関節の可動域練習を開始することが推奨されます。長期間の安静は拘縮を引き起こす可能性があるため避けるべきです。

ワンポイントアドバイス

高位脛骨骨切り術(HTO)は、膝関節のアライメントを修正し、変形性膝関節症の進行を防ぐ手術です。術後早期の筋力強化と可動域練習はリハビリテーションの基本となります。荷重の進め方や適切な運動の時期を理解しておきましょう。や方法は医師の指示に従い、安全に進めることが重要です。