第58回

第58回理学療法士国家試験 午後問題91

手根管症候群の典型的な所見として正しいのはどれか。

  1. 猿手
  2. 骨間筋の萎縮
  3. 前腕回内時の疼痛
  4. Froment徴候陽性
  5. 環指尺側から小指の感覚障害

解答解説

正解は1. 猿手です。

手根管症候群では正中神経の圧迫により猿手が典型的に見られます。

各選択肢の解説

  1. 猿手
    この選択肢が正解です。
    猿手(母指球筋の萎縮)は正中神経障害による特徴的な所見です。
  2. 骨間筋の萎縮
    この選択肢は誤りです。
    骨間筋は尺骨神経支配であり、手根管症候群では影響を受けません。
  3. 前腕回内時の疼痛
    この選択肢は誤りです。
    正中神経障害ではなく、上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)で見られる所見です。
  4. Froment徴候陽性
    この選択肢は誤りです。
    Froment徴候は尺骨神経障害の所見です。
  5. 環指尺側から小指の感覚障害
    この選択肢は誤りです。
    尺骨神経領域の感覚障害であり、正中神経障害ではありません。

ワンポイントアドバイス

手根管症候群では正中神経支配領域(母指~環指橈側)の感覚障害や母指球筋萎縮が見られます。猿手やティネル徴候の確認が重要です。中神経障害が原因であり、猿手や母指~中指の感覚障害が特徴的です。一方、尺骨神経障害では骨間筋萎縮や環指・小指の感覚障害がみられる点を区別しましょう。