第58回

第58回理学療法士国家試験 午前問題4

NICUに入院中の低出生体重児。在胎週数30週。腹臥位での姿勢を図に示す。この児に対するポジショニングとして適切な肢位はどれか。2つ選べ。

  1. 頭部伸展位
  2. 体幹伸展位
  3. 肩甲帯前方突出位
  4. 肩関節外転位
  5. 股関節内外転中間位

解答解説

正解は3. 肩甲帯前方突出位5. 股関節内外転中間位です。

低出生体重児では、自然な胎児屈曲姿勢を促すポジショニングが必要です。この児のように腹臥位での頭部や体幹の不安定な伸展姿勢を防ぐため、肩甲帯を前方に引き寄せ、股関節を安定させる内外転中間位に調整します。これにより、呼吸や運動発達を支援する適切なポジションを確保できます。

各選択肢の解説

  1. 頭部伸展位
    この選択肢は誤りです。頭部の伸展位では、頸部の不安定性が増し、呼吸や摂食の負担が大きくなります。適切なポジショニングでは頭部はやや屈曲位が推奨されます。
  2. 体幹伸展位
    この選択肢は誤りです。体幹を伸展させると、胎児の自然な屈曲姿勢が崩れ、運動発達や安定性に悪影響を及ぼします。体幹は軽い屈曲位を維持することが望ましいです。
  3. 肩甲帯前方突出位
    この選択肢が正解です。肩甲帯を前方に引き寄せることで、上肢の屈曲姿勢を保ち、体幹の安定性を向上させます。この姿勢は、胎児期の自然な肢位を再現し、安心感と運動の統合を促します。
  4. 肩関節外転位
    この選択肢は誤りです。肩関節を外転位にすると、腕が体幹から離れて不安定になり、屈曲姿勢が維持できなくなります。肩関節は軽い内転位が適切です。
  5. 股関節内外転中間位
    この選択肢が正解です。股関節を内外転中間位に保つことで、骨盤の安定性が向上し、胎児屈曲姿勢をサポートします。この姿勢は、体幹と下肢の連動性を促す点でも重要です。

ワンポイントアドバイス

低出生体重児のポジショニングでは、胎児屈曲姿勢を意識し、頭部・体幹・四肢のバランスを整えることが重要です。肩甲帯と股関節を安定させることで、呼吸や運動発達を支援できます。ポジショニングの目的は身体機能の発達を助けることにある点を覚えておきましょう。