第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題29

ICFで正しいのはどれか。

1.障害のある人を対象とした分類である。
2.ICIDHとは相互補完的な分類である。
3.健康状態は構成要素のひとつである。
4.社会モデルに依拠している。
5.倫理的ガイドラインがある。

正解は5です。

解答解説

正解は 5.倫理的ガイドラインがある です。

  • ICF(国際生活機能分類)は、生活機能や健康状態を評価するための枠組みであり、個人の尊厳や権利を重視する倫理的なガイドラインを含んでいます。ICFでは、すべての人が参加し、平等に扱われることを目指し、社会的なインクルージョンや平等を強調する観点からのガイドラインが示されています。

選択肢の解説

  1. 障害のある人を対象とした分類である
    誤りです。ICFは、障害の有無にかかわらず、すべての人の生活機能と健康状態を評価するための分類体系です。障害を持つ人だけでなく、一般の人の健康や機能も対象にしています。
  2. ICIDHとは相互補完的な分類である
    誤りです。ICIDH(国際障害分類)は、ICFの前身で、ICFとは別の視点で障害を捉えていました。ICFはICIDHに代わる新しい枠組みで、相互補完的ではなく、ICIDHの課題を改善するために策定されたものです。
  3. 健康状態は構成要素のひとつである
    誤りです。ICFにおいて、健康状態は「背景因子」として扱われます。ICFの構成要素は「生活機能と障害」と「背景因子」に分かれており、健康状態そのものを直接の構成要素とはしていません。
  4. 社会モデルに依拠している
    誤りです。ICFは「医療モデル」と「社会モデル」の両方を統合した「生物-心理-社会モデル」に基づいています。ICFは、個人の健康や障害の評価にあたり、身体的、社会的、心理的な要因をすべて考慮するモデルです。
  5. 倫理的ガイドラインがある
    正解です。ICFには、生活機能や障害を評価する際に、人の尊厳、権利、平等、社会的包摂(インクルージョン)といった倫理的な側面を考慮する指針が含まれています。この観点から、倫理的なガイドラインと見なすことができます。

ワンポイントアドバイス

ICFは、個人の生活機能と健康状態を包括的に評価するための国際的な分類であり、医療モデルと社会モデルを統合した「生物-心理-社会モデル」に基づいています。すべての人が平等に扱われるべきとの倫理的観点も含まれているため、倫理的ガイドラインとしての要素も備えています。