第57回

第57回理学療法士国家試験 午前問題94

心房細動に対する治療として誤っているのはどれか。

  1. β遮断薬
  2. 抗凝固薬
  3. 電気的除細動
  4. アブレーション
  5. ニトログリセリン

解答解説

正解は5. ニトログリセリンです。

心房細動(AF)の治療は、心拍数の制御、リズムの正常化、血栓塞栓症の予防を目的として行われます。ニトログリセリンは主に狭心症や心筋梗塞で用いられる薬剤であり、心房細動の治療には直接関与しません。

各選択肢の解説

  1. β遮断薬
    心房細動では心拍数のコントロールを目的に用いられます。特に、頻拍を抑える目的で有効です。この選択肢は正しいです。
  2. 抗凝固薬
    心房細動では血栓塞栓症(脳梗塞など)の予防が重要です。CHA₂DS₂-VAScスコアに基づき、ワルファリンやDOAC(直接経口抗凝固薬)が使用されます。この選択肢は正しいです。
  3. 電気的除細動
    電気的除細動は、持続性心房細動や重症例でリズムコントロールを行うために使用されます。この選択肢は正しいです。
  4. アブレーション
    心房細動の根治を目指す治療法として、カテーテルアブレーションが選択されます。特に発作性心房細動に対して効果的です。この選択肢は正しいです。
  5. ニトログリセリン(正解)
    ニトログリセリンは主に冠動脈拡張を目的とする薬剤であり、狭心症や心筋梗塞の治療に使用されます。心房細動の治療には関連がありません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

心房細動の治療アプローチは次の3つが重要です:

  • 心拍数コントロール:β遮断薬、カルシウム拮抗薬(ベラパミルなど)。
  • リズムコントロール:抗不整脈薬(アミオダロンなど)、電気的除細動、アブレーション。
  • 血栓予防:抗凝固薬(ワルファリン、DOAC)。

これらの治療法の適応を整理して覚えておくと、試験でも臨床でも役立ちます。