第57回

第57回理学療法士国家試験 午前問題95

がんについて正しいのはどれか。

  1. 環境は発生要因である。
  2. 緩和ケアは術後に開始する。
  3. 年齢調整死亡率は上昇している。
  4. 一つのがん抑制遺伝子により発症する。
  5. 我が国のがん死亡数は胃癌が最も多い。

解答解説

正解は1. 環境は発生要因であるです。

がんの発生には環境要因(喫煙、飲酒、感染、食生活、職業曝露など)が大きく関与します。これに遺伝要因が加わることで発症リスクが高まります。

各選択肢の解説

  1. 環境は発生要因である。(正解)
    がん発生の主な要因には環境的要因(生活習慣や感染症など)と遺伝的要因があります。喫煙やウイルス感染(例:ヒトパピローマウイルス、ヘリコバクター・ピロリなど)はがん発生リスクを高めることが知られています。この選択肢は正しいです。
  2. 緩和ケアは術後に開始する。
    緩和ケアは疾患の進行に関わらず、診断時点から提供可能であり、術後に限定されません。この選択肢は誤りです。
  3. 年齢調整死亡率は上昇している。
    がんの年齢調整死亡率(年齢構成の影響を除いた死亡率)は、医療の進歩や予防策の普及により減少傾向にあります。この選択肢は誤りです。
  4. 一つのがん抑制遺伝子により発症する。
    がんは複数のがん遺伝子がん抑制遺伝子の異常が積み重なることで発症します。一つのがん抑制遺伝子の異常だけで発症することはありません。この選択肢は誤りです。
  5. 我が国のがん死亡数は胃癌が最も多い。
    日本におけるがん死亡数で最も多いのは肺がんです。胃がんは減少傾向にあります。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

がんの発生要因や統計に関する基本知識を押さえましょう:

  • 発生要因:環境要因(喫煙、飲酒、感染など)+遺伝要因。
  • 死亡数が多いがん:1位肺がん、2位大腸がん、3位膵がん(2020年統計)。
  • 緩和ケア:診断時点から可能で、患者のQOLを向上させることが目的。

環境要因とがんの関連を意識すると、予防にも役立つ知識となります。