第57回

第57回理学療法士国家試験 午前問題92

食道癌について正しいのはどれか。

  1. 女性に多い。
  2. 腺癌が90 %を占める。
  3. リンパ行性転移は稀である。
  4. 飲酒・喫煙は発症に関与する。
  5. 中部食道よりも下部食道の発症率が高い。

解答解説

正解は4. 飲酒・喫煙は発症に関与するです。

食道癌の主要なリスク因子には、飲酒と喫煙が挙げられます。特にアルコール代謝に関与する酵素(ALDH2)に変異がある人では、飲酒による発症リスクがさらに高まります。

各選択肢の解説

  1. 女性に多い。
    食道癌は男性に多くみられ、男女比は約5:1とされています。この選択肢は誤りです。
  2. 腺癌が90 %を占める。
    日本における食道癌の約90%は扁平上皮癌です。腺癌は稀で、主にバレット食道が原因となる下部食道に発生します。この選択肢は誤りです。
  3. リンパ行性転移は稀である。
    食道癌は早期からリンパ行性転移を起こしやすい疾患です。この選択肢は誤りです。
  4. 飲酒・喫煙は発症に関与する。(正解)
    飲酒(特に強い酒)と喫煙は、食道癌の発症リスクを高める主要因子です。また、飲酒と喫煙を併用することでリスクは相乗的に増加します。この選択肢は正しいです。
  5. 中部食道よりも下部食道の発症率が高い。
    日本では食道癌は中部食道に最も多く発生します。欧米では下部食道の腺癌が増加傾向にありますが、日本では少数です。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

食道癌のポイント

  • リスク因子:飲酒、喫煙、熱い飲食物、ALDH2遺伝子変異、バレット食道(腺癌の原因)。
  • 病理分類:扁平上皮癌が大多数。
  • 転移:早期にリンパ節転移が見られるため、注意が必要。
  • 発生部位:中部食道が最多。

リスク因子や病理、部位ごとの違いを覚えることで、試験や臨床で役立ちます。