脳梗塞の発生部位と出現する症状の組合せで正しいのはどれか。
- Broca領域
- 右小脳半球
- 右内包後脚
- 左前頭葉
- 左放線冠
解答解説
正解は3. 右内包後脚 – 左上下肢の運動麻痺です。
内包後脚は錐体路が通る部位であり、ここが障害されると対側の上下肢に運動麻痺が生じます。右側の内包後脚の障害では、左側上下肢に麻痺が現れます。
各選択肢の解説
- Broca領域 – 遂行機能障害
Broca領域は言語表出を司る領域であり、障害されると非流暢性失語(Broca失語)が生じます。遂行機能障害は主に前頭葉の広範な損傷でみられるため、この選択肢は誤りです。 - 右小脳半球 – 左上下肢の運動失調
小脳の障害は基本的に同側の運動失調を引き起こします。右小脳半球が障害された場合は右側の運動失調がみられるため、この選択肢は誤りです。 - 右内包後脚 – 左上下肢の運動麻痺(正解)
内包後脚は錐体路が通過する部位で、運動指令を伝える重要な通路です。障害された場合、対側の運動麻痺が生じます。この選択肢は正しいです。 - 左前頭葉 – 左半側空間無視
半側空間無視は主に右半球(右頭頂葉)の障害で生じ、左半側空間を無視する状態が見られます。左前頭葉の障害では半側空間無視は一般的に生じません。この選択肢は誤りです。 - 左放線冠 – 感覚性失語
感覚性失語(Wernicke失語)は、主に左側のWernicke領域(側頭葉後部)の障害で生じます。放線冠の障害では運動や感覚の伝達異常が中心で、感覚性失語とは関連しません。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
脳の損傷部位と症状を整理して覚えましょう:
- 内包後脚:対側の運動麻痺。
- Broca領域(左前頭葉):非流暢性失語(Broca失語)。
- Wernicke領域(左側頭葉):感覚性失語(Wernicke失語)。
- 右頭頂葉:左半側空間無視。
- 小脳:障害された側の運動失調(同側性)。
これらを理解することで、臨床の症状から病変部位を推定する力がつきます。