72歳の女性。心原性脳梗塞。入院時、血圧145/78mmHg、心拍数102/分、GCS E4 V5 M6、Brunnstrom法ステージ左上肢Ⅱ、左下肢Ⅱ、左上下肢筋緊張低下。入院時のMRI(別冊No.1)を別に示す。翌日に理学療法を行う場合、離床練習を中止すべき所見はどれか。
- 心拍数105/分
- GCS E2 V2 M5
- 血圧160/72mmHg
- 左上下肢筋緊張軽度亢進
- Brunnstrom法ステージ左上肢Ⅲ、左下肢Ⅲ
解答解説
正解は2. GCS E2 V2 M5です。
GCS(Glasgow Coma Scale)のスコアが急激に低下している場合、意識レベルの悪化が疑われます。このような所見は再梗塞や脳浮腫などの可能性があり、理学療法を継続することで患者の状態を悪化させるリスクがあります。離床練習を中止し、速やかに医師へ報告する必要があります。
選択肢の解説
- 心拍数105/分
心拍数が軽度に上昇しているだけでは、離床練習を中止するほどの危険性を示す所見ではありません。心電図モニタリングを行いながら注意深く観察することで、練習を進めることが可能です。この選択肢は誤りです。 - GCS E2 V2 M5
GCSスコアの低下は意識レベルの悪化を示す重大な所見です。特に心原性脳梗塞では再梗塞や脳浮腫の進行の可能性があるため、直ちに理学療法を中止して医師へ報告すべきです。この選択肢が正解です。 - 血圧160/72mmHg
血圧がやや上昇していますが、脳梗塞患者では血流を維持するためにある程度高い血圧が許容されることがあります。この程度の上昇では離床を中止する必要はなく、慎重に進めることが可能です。この選択肢は誤りです。 - 左上下肢筋緊張軽度亢進
筋緊張の軽度な亢進は脳梗塞後の一般的な回復過程で見られる症状であり、特に中止する理由にはなりません。動作の状態を確認しながら離床練習を進めます。この選択肢は誤りです。 - Brunnstrom法ステージ左上肢Ⅲ、左下肢Ⅲ
Brunnstrom法ステージの向上は回復を示す兆候であり、リハビリテーションを中断する理由にはなりません。さらに練習を進めて運動機能の向上を目指します。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
理学療法を進める際は、GCSのような意識レベルの評価や、血圧・心拍数などのバイタルサインの変化を総合的に判断することが重要です。特に意識レベルの低下は生命危機の兆候となり得るため、即座に医師と連携して適切な対応を取ることが求められます。