第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題87

視床痛について正しいのはどれか。

  1. CRPS〈複合性局所痛症候群〉typeⅠに分類される。
  2. 発症頻度は脳卒中患者の30%程度である。
  3. 脳卒中発症直後に生じる症例が多い。
  4. 鎮痛剤は無効であることが多い。
  5. 手部に腫脹を伴う。

解答解説

正解は4.鎮痛剤は無効であることが多いです。
視床痛は脳卒中などによる視床の損傷で生じる難治性の疼痛症候群です。通常の鎮痛剤やオピオイドが効果を示さないことが多く、神経障害性疼痛の一種とされています。治療には、抗うつ薬や抗けいれん薬などが試されることがあります。

選択肢の解説

  1. CRPS〈複合性局所痛症候群〉typeⅠに分類される。
    視床痛は神経障害性疼痛であり、CRPS typeⅠ(外傷や神経損傷を伴わない疼痛)には分類されません。この選択肢は誤りです。
  2. 発症頻度は脳卒中患者の30%程度である。
    視床痛の発症頻度は脳卒中患者全体の2~8%程度であり、30%は大幅に過大な値です。この選択肢は誤りです。
  3. 脳卒中発症直後に生じる症例が多い。
    視床痛は、脳卒中発症後数週間から数か月後に遅れて生じることが多いです。直後に生じることは稀です。この選択肢は誤りです。
  4. 鎮痛剤は無効であることが多い。
    視床痛は通常の鎮痛薬(NSAIDsやオピオイド)が無効であることが多く、治療が困難です。この選択肢が正しいです。
  5. 手部に腫脹を伴う。
    手部の腫脹はCRPSで見られることが多いですが、視床痛には通常見られません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

視床痛は脳卒中後の後遺症として見られる難治性の疼痛です。症状の管理には、抗うつ薬や抗けいれん薬が効果を示すことがあります。また、視床損傷による特有の感覚障害(痛覚過敏、しびれなど)も特徴的であるため、症状の理解を深めておきましょう。