第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題75

心電図の房室ブロックの所見で正しいのはどれか。

  1. Wenckebach型房室ブロックではPR間隔が不変である。
  2. 第1度房室ブロックではQRS波は脱落しない。
  3. 第1度房室ブロックではPR間隔が0.1秒以上になる。
  4. 第3度房室ブロックではP波が完全に脱落している。
  5. Mobitz II型房室ブロックではPR間隔が徐々に延長する。

解答解説

正解は2.第1度房室ブロックではQRS波は脱落しないです。
第1度房室ブロックは、房室伝導が遅延するが、すべてのP波がQRS波を誘発する状態です。そのため、QRS波の脱落は起こりません。房室ブロックの分類ごとの特徴を正確に把握することが、心電図の読解には不可欠です。

選択肢の解説

  1. Wenckebach型房室ブロックではPR間隔が不変である。
    Wenckebach型(Mobitz I型)房室ブロックでは、PR間隔が徐々に延長し、最終的にQRS波が脱落します。PR間隔が不変であるわけではないため、この選択肢は誤りです。
  2. 第1度房室ブロックではQRS波は脱落しない。
    第1度房室ブロックではPR間隔が0.2秒以上に延長しますが、P波がすべてQRS波を伴います。そのため、QRS波の脱落はありません。この選択肢が正しいです。
  3. 第1度房室ブロックではPR間隔が0.1秒以上になる。
    第1度房室ブロックではPR間隔が0.2秒以上に延長します。0.1秒という記述は不正確であるため、この選択肢は誤りです。
  4. 第3度房室ブロックではP波が完全に脱落している。
    第3度房室ブロックではP波とQRS波の同期が完全に失われますが、P波そのものは脱落せず、独立したペースで出現します。この選択肢は誤りです。
  5. Mobitz II型房室ブロックではPR間隔が徐々に延長する。
    Mobitz II型房室ブロックではPR間隔は一定で、突然QRS波が脱落します。PR間隔が徐々に延長するのはMobitz I型(Wenckebach型)です。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

房室ブロックは、第1度(PR間隔延長)、第2度(Mobitz I型、II型の違い)、第3度(完全房室ブロック)の特徴を整理して覚えることが重要です。また、Mobitz I型とII型の違い(PR間隔の変化と突然のQRS波脱落)を明確に区別できるようにしておくと、心電図解析がスムーズになります。