第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題55

頸動脈小体を支配するのはどれか。

  1. 滑車神経
  2. 三叉神経
  3. 顔面神経
  4. 舌咽神経
  5. 副神経

解答解説

正解は4.舌咽神経です。
頸動脈小体は化学受容器として、血液中の酸素分圧、二酸化炭素分圧、pHの変化を感知する器官です。この化学受容情報は、舌咽神経を介して中枢神経系に伝えられ、呼吸や循環調節に寄与します。支配神経の解剖学的知識が臨床評価に役立ちます。

選択肢の解説

  1. 1. 滑車神経
    滑車神経は主に上斜筋を支配し、眼球運動に関与します。感覚機能や頸動脈小体の支配には関与していないため、この選択肢は誤りです。
  2. 三叉神経
    三叉神経は顔面の感覚と咀嚼筋の運動を支配しますが、頸動脈小体の化学受容器情報の伝達には関与していません。この選択肢も誤りです。
  3. 顔面神経
    顔面神経は主に表情筋の運動や一部の味覚を司ります。頸動脈小体の化学受容器情報の支配には関係しないため、この選択肢は誤りです。
  4. 舌咽神経
    舌咽神経は頸動脈小体および頸動脈洞を支配し、化学受容や圧受容の情報を中枢神経系に伝達します。これにより呼吸調節や血圧調節に関与するため、正しい選択肢です。
  5. 副神経
    副神経は胸鎖乳突筋や僧帽筋を支配する運動神経であり、頸動脈小体の化学受容器機能とは無関係です。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

頸動脈小体は頸動脈分岐部に存在し、呼吸・循環調節の重要な役割を担っています。舌咽神経が支配する点は、頸動脈洞との関係でも共通するため、セットで覚えると効率的です。臨床では呼吸不全の病態理解に直結します。