脳血管障害の片麻痺について正しいのはどれか。
- 四肢の遠位部と比べて四肢の近位部の回復が遅れることが多い。
- 上肢の麻痺と比べて下肢の麻痺の回復が遅れることが多い。
- 上肢に痙縮があると肘関節が屈曲することが多い。
- 共同運動が出現した後に連合反応が出現する。
- 発症直後は筋緊張が高まることが多い。
解答解説
正解は3.上肢に痙縮があると肘関節が屈曲することが多いです。
脳血管障害による片麻痺では、痙縮が上肢に出現すると、典型的な屈曲パターン(肩関節屈曲・内旋・内転、肘関節屈曲、手関節屈曲)が見られます。特に肘関節屈曲が目立つことが多いです。この屈曲パターンは、錐体路の障害により筋緊張が偏って発生するものです。
選択肢の解説
- 四肢の遠位部と比べて四肢の近位部の回復が遅れることが多い。
一般的に、脳血管障害による片麻痺では、近位部(肩や股関節)の運動が遠位部(手指や足関節)よりも早く回復します。この選択肢は誤りです。 - 上肢の麻痺と比べて下肢の麻痺の回復が遅れることが多い。
下肢の麻痺は、上肢の麻痺に比べて回復が早い傾向があります。これは、下肢の運動が日常生活動作においてより頻繁に使用されることと、神経ネットワークの分布に起因します。この選択肢は誤りです。 - 上肢に痙縮があると肘関節が屈曲することが多い。
上肢の痙縮では屈曲パターンが出現しやすく、特に肘関節の屈曲が目立つことが多いです。この選択肢が正解です。 - 共同運動が出現した後に連合反応が出現する。
連合反応は、脳血管障害後の早期に出現する現象であり、患者が努力する際に麻痺側に非随意的な動きが誘発されるものです。一方、共同運動は麻痺側の随意的な動きが進展する中で現れるため、この順番は逆です。この選択肢は誤りです。 - 発症直後は筋緊張が高まることが多い。
発症直後は弛緩性麻痺が見られることが多く、筋緊張はむしろ低下します。筋緊張が高まる痙縮は、回復期に入る過程で出現することが多いです。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
片麻痺の回復には、近位部が遠位部よりも早く回復するという法則や、下肢の回復が上肢よりも早い傾向がある点を押さえましょう。また、痙縮に伴う典型的な上肢・下肢の運動パターン(屈曲パターンと伸展パターン)を理解し、評価や治療に役立てることが重要です。