第56回

第56回理学療法士国家試験 午前問題54

健常成人において脊椎に対する脊髄最下端の位置はどれか。

  1. 第9〜第10胸椎
  2. 第11〜第12胸椎
  3. 第1〜第2腰椎
  4. 第2〜第3腰椎
  5. 第5腰椎〜第1仙椎

解答解説

正解は3です。
健常成人では、脊髄は脊柱管内を走行し、第1〜第2腰椎レベルで終了します。そこから先は馬尾神経となり、末梢神経のような構造を取ります。この解剖学的位置を正確に理解することは、腰椎穿刺や脊椎関連の疾患を評価する際に重要です。

選択肢の解説

  1. 1. 第9〜第10胸椎
    第9〜第10胸椎は胸椎中部の位置であり、脊髄の下端には該当しません。脊髄は胸椎下部から腰椎上部にかけて終了するため、この選択肢は誤りです。
  2. 第11〜第12胸椎
    第11〜第12胸椎は脊髄下端に近い位置ですが、正確には成人では脊髄はこれより少し下方で終了します。したがってこの選択肢は誤りです。
  3. 第1〜第2腰椎
    健常成人の脊髄は通常、第1〜第2腰椎レベルで終了します。この部分で円錐状の「脊髄円錐(conAXus medullaris)」となり、馬尾神経に移行します。この選択肢が正解です。
  4. 第2〜第3腰椎
    第2〜第3腰椎レベルは脊髄終了位置より下方に位置します。この部位ではすでに脊髄は馬尾神経に移行しているため、この選択肢は誤りです。
  5. 第5腰椎〜第1仙椎
    第5腰椎〜第1仙椎は脊髄終了位置よりさらに下方に位置し、ここでは馬尾神経が走行しています。したがってこの選択肢も誤りです。

ワンポイントアドバイス

脊髄の終了位置は成人と小児で異なります。小児では脊髄は第3腰椎付近で終了するため、成長に伴い終了位置が上昇します。この知識は、腰椎穿刺などの臨床手技や神経学的評価の際に役立つため、しっかり覚えましょう。