上腕骨骨幹部骨折で最も合併しやすい神経障害はどれか。
- 腋窩神経
- 筋皮神経
- 尺骨神経
- 正中神経
- 橈骨神経
解答解説
正解は5. 橈骨神経です。
上腕骨骨幹部骨折では、橈骨神経が最も傷害されやすい神経です。橈骨神経は、上腕骨骨幹部の後側にある橈骨神経溝を通過しており、骨折部との解剖学的関係が密接です。そのため、骨折時に神経が圧迫される、または直接損傷を受けるリスクが高くなります。橈骨神経障害が起きると、手首下垂(ドロップハンド)や指の伸展障害が特徴的な症状として現れます。
各選択肢の解説
- 腋窩神経
腋窩神経は主に上腕骨近位部の骨折(肩関節付近)で損傷されやすく、骨幹部骨折では関与しません。この選択肢は誤りです。 - 筋皮神経
筋皮神経は上腕の前側を走行しており、上腕骨骨幹部骨折とは解剖学的な位置関係が遠いため、損傷される可能性は低いです。この選択肢は誤りです。 - 尺骨神経
尺骨神経は肘関節の内側を通るため、上腕骨骨幹部骨折とは位置が異なり、直接の損傷は考えにくいです。この選択肢は誤りです。 - 正中神経
正中神経は上腕の内側を走行しますが、骨幹部骨折による損傷のリスクは低いです。主に肘や手首での外傷に関連します。この選択肢は誤りです。 - 橈骨神経(正解)
橈骨神経は上腕骨骨幹部の橈骨神経溝を通過しており、骨幹部骨折と解剖学的に非常に近い位置にあります。そのため、骨折による神経障害が発生しやすく、最も合併しやすい神経です。この選択肢が正解です。
ワンポイントアドバイス
上腕骨骨幹部骨折では、橈骨神経麻痺の症状に注意が必要です。以下を確認します:
- 手首下垂(ドロップハンド):手首や指を伸ばせない。
- 母指外転の障害:長母指外転筋が影響を受ける。
神経障害が疑われる場合、速やかに神経機能を評価し、適切な処置を行うことが重要です。