第57回

第57回理学療法士国家試験 午前問題13

76歳の女性。脛骨高原骨折。転倒して受傷し、人工骨を用いた手術を施行された。術後のエックス線写真(別冊No.4)を別に示す。術後の理学療法で正しいのはどれか。

  1. 術後翌日から極超短波治療を行う。
  2. 術後翌日から足関節自動運動を行う。
  3. 術後翌日から膝関節伸展の等張性筋力増強練習を行う。
  4. 術後4週からCPMを行う。
  5. 術後4週から全荷重歩行を行う。

解答解説

正解は2. 術後翌日から足関節自動運動を行うです。

脛骨高原骨折術後の理学療法では、早期から非荷重の運動を行い、関節可動域の維持や血行促進、深部静脈血栓症(DVT)の予防を目指します。足関節の自動運動は、患部に負荷をかけずに早期から安全に行える運動であり、術後翌日から開始することが推奨されます。

各選択肢の解説

  1. 術後翌日から極超短波治療を行う。
    極超短波治療は、深部温熱による血行促進や疼痛軽減を目的としますが、術後早期に実施することは通常推奨されません。手術後の炎症が残っている時期に温熱療法を行うと、かえって炎症が悪化する可能性があります。
  2. 術後翌日から足関節自動運動を行う。(正解)
    足関節の自動運動は、脛骨高原骨折術後における早期リハビリの基本的な内容です。足関節を動かすことで、下肢の静脈還流を促進し、DVTの予防や筋ポンプ作用の維持に有効です。患部に負担をかけずに実施できるため、安全で適切な選択です。
  3. 術後翌日から膝関節伸展の等張性筋力増強練習を行う。
    等張性筋力増強練習(負荷を伴う運動)は術後翌日に実施するのは不適切です。術後早期では、患部の安静を保ちながら、徐々に負荷をかけていくことが重要です。膝関節伸展筋力の強化は、術後一定期間経過してから行うべきです。
  4. 術後4週からCPMを行う。
    CPM(持続的他動運動)は、術後早期から行うことが推奨されます。膝関節の可動域を維持するためには、術後1~2日目から開始するのが一般的であり、術後4週から行うのは遅すぎます。
  5. 術後4週から全荷重歩行を行う。
    全荷重歩行は、骨癒合が確認され、医師の指示がある段階で開始します。脛骨高原骨折術後では、通常、全荷重歩行の開始時期は術後8~12週頃が適切であり、4週から行うのは早すぎます。

ワンポイントアドバイス

脛骨高原骨折術後のリハビリでは、早期からの非荷重運動(足関節自動運動や膝関節の他動運動)を実施しつつ、荷重運動は骨癒合の進行に応じて段階的に進めます。DVT予防を念頭に置き、下肢の血行促進を目的とした運動を取り入れることが重要です。