緩和ケア病棟におけるがん患者の理学療法で正しいのはどれか。
- QOLより機能回復を優先する。
- 疼痛に対して温熱療法は禁忌である。
- リンパ浮腫に対して理学療法は行わない。
- チームアプローチよりも個人的な関わりを重視する。
- 骨髄抑制の状態に合わせて理学療法の内容を変更する。
解答解説
正解は5(骨髄抑制の状態に合わせて理学療法の内容を変更する)です。
緩和ケア病棟では、患者の全身状態を十分に考慮して理学療法を行う必要があります。骨髄抑制が進行している場合は、感染症リスクや出血傾向に注意しながら、安全性を重視した運動や介入を計画します。具体的には、激しい運動を避け、衛生管理を徹底しつつ、患者のQOL向上に寄与する方法を選択します。
各選択肢の解説
- QOLより機能回復を優先する。
誤りです。緩和ケアではQOLの維持や向上が最優先されます。機能回復がQOLの向上に寄与する場合は取り組みますが、QOLを犠牲にしてまで機能回復を優先することはありません。 - 疼痛に対して温熱療法は禁忌である。
誤りです。温熱療法はがん患者にも適応されることがあります。ただし、骨転移がある部位や腫瘍が存在する部位には禁忌の場合があります。疼痛緩和に効果的であれば、適切に使用することが可能です。 - リンパ浮腫に対して理学療法は行わない。
誤りです。リンパ浮腫に対する理学療法(圧迫療法、リンパドレナージ、軽度な運動療法)は有効であり、緩和ケアの一環として行うべきです。 - チームアプローチよりも個人的な関わりを重視する。
誤りです。緩和ケアでは、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、心理士などが協働するチームアプローチが基本です。個人的な関わりは重要ですが、患者に対するケアの質を高めるためにチームとしての連携が不可欠です。 - 骨髄抑制の状態に合わせて理学療法の内容を変更する。
正しい選択肢です。骨髄抑制では白血球減少による感染症リスクや血小板減少による出血リスクが高まるため、患者の状態を慎重に評価し、適切な介入を行うことが必要です。
ワンポイントアドバイス
緩和ケアにおける理学療法は、患者のQOL向上を最優先とし、症状緩和や生活機能の維持・向上を目指します。全身状態を観察し、必要に応じて介入方法を柔軟に調整するスキルが求められます。特に骨髄抑制や骨転移など、合併症を考慮した対応が重要です。