第52回

第52回理学療法士国家試験 午後問題93

2型糖尿病の運動療法について誤っているのはどれか。

  1. 有酸素運動が用いられる。
  2. インスリン感受性を上昇させる。
  3. 食事療法との併用が基本となる。
  4. 尿中ケトン体が陽性の場合においても推奨される。
  5. 実施にあたってはインスリンが十分に補充されている必要がある。

解答解説

正解は4. 尿中ケトン体が陽性の場合においても推奨されるです。

尿中ケトン体陽性は、インスリン不足により脂肪代謝が活性化されていることを示します。この状態で運動を行うと、代謝性アシドーシスが悪化するリスクがあるため、運動療法は推奨されません。運動を行う前にインスリン治療を適切に行い、血糖値やケトン体をコントロールする必要があります。

各選択肢の解説

  1. 有酸素運動が用いられる
    有酸素運動(ウォーキングやジョギング)は、血糖コントロールや心血管系の健康維持に有効であり、2型糖尿病患者に推奨されます。この選択肢は正しいです。
  2. インスリン感受性を上昇させる
    運動療法は骨格筋のインスリン感受性を改善し、血糖コントロールを向上させます。この選択肢は正しいです。
  3. 食事療法との併用が基本となる
    運動療法は単独ではなく、食事療法と併用することでより効果的に血糖を管理できます。この選択肢は正しいです。
  4. 尿中ケトン体が陽性の場合においても推奨される(正解)
    尿中ケトン体が陽性の場合、インスリン不足により脂肪が代謝され、ケトアシドーシスのリスクが高まる状態です。この状態で運動を行うことは危険であり、推奨されません。この選択肢は誤りです。
  5. 実施にあたってはインスリンが十分に補充されている必要がある
    運動療法を安全に行うためには、適切なインスリン補充が必要です。インスリンが不足していると血糖が上昇し、代謝が悪化する可能性があります。この選択肢は正しいです。

ワンポイントアドバイス

2型糖尿病の運動療法における注意点を整理しましょう:

  • 推奨される運動: 有酸素運動(ウォーキングなど)や筋力トレーニング。
  • 実施条件: 血糖値コントロールが安定していること(尿中ケトン体が陰性)。
  • 注意する状態: 血糖値が300mg/dL以上、尿中ケトン体陽性の場合は運動を避ける。
  • 目的: インスリン感受性の改善、血糖コントロール、体重管理。

運動療法の適応を慎重に判断することが、糖尿病患者の安全な治療の鍵です。