摂食嚥下障害への対応で正しいのはどれか。
- 飲水にはぬるま湯を用いる。
- 咽頭期障害では頭頸部伸展姿勢で嚥下する。
- 口腔期障害に対しては高粘度の食物を用いる。
- 先行期障害に対して食事のペースを指導する。
- 鼻咽腔閉鎖不全に対してはShaker法を用いる。
解答解説
正解は4. 先行期障害に対して食事のペースを指導するです。
先行期障害は摂食行動に関わる障害で、主に認知機能の低下や注意力の不足により適切な食事ペースを保てない状態を指します。対応としては、食事のペースを適切に指導することが重要です。
各選択肢の解説
- 飲水にはぬるま湯を用いる
飲水には通常、冷水やとろみを付けた液体を用いることが推奨されます。冷水は感覚刺激を強め、嚥下反射を誘発しやすいため、ぬるま湯を使用することは推奨されません。この選択肢は誤りです。 - 咽頭期障害では頭頸部伸展姿勢で嚥下する
咽頭期障害では頭頸部を軽度に前屈(屈曲)する「顎を引いた姿勢(チンタック)」が推奨されます。伸展姿勢(頭を反らせる)は誤嚥リスクが増加するため適切ではありません。この選択肢は誤りです。 - 口腔期障害に対しては高粘度の食物を用いる
口腔期障害では、むしろ食塊の形成や移動を助けるために、適度な粘度(中等度)の食物が推奨されます。過度に高粘度な食物は逆に飲み込みにくくなることがあります。この選択肢は誤りです。 - 先行期障害に対して食事のペースを指導する(正解)
先行期障害は認知機能の低下や注意力不足が原因で起こることが多いため、食事中にペースを指導することで改善を図ることができます。正しい選択肢です。 - 鼻咽腔閉鎖不全に対してはShaker法を用いる
Shaker法(頭部挙上訓練)は、嚥下反射を促進し、食道入口部(UES)の開大を改善する訓練です。鼻咽腔閉鎖不全の対応には適していません。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
摂食嚥下障害の対応について整理しておきましょう:
- 先行期障害: 食事のペース指導、注意力向上の工夫。
- 口腔期障害: 適度な粘度の食物や口腔ケアの徹底。
- 咽頭期障害: チンタック姿勢、冷刺激やとろみ食。
- 鼻咽腔閉鎖不全: 発声訓練や嚥下体操の導入。
姿勢調整や食事形態の工夫が摂食嚥下障害の改善に大きく役立つため、各期の特性に合わせた介入方法を押さえておきましょう。