42歳の男性。Guillain-Barré症候群。発症後3日目。四肢体幹の重度な麻痺と呼吸筋麻痺のため人工呼吸器管理の状態である。この時期に行う理学療法で適切なのはどれか。
- 体位排痰
- 痙縮の抑制
- 体幹の漸増抵抗運動
- 上下肢の高負荷の筋力増強運動
- 上下肢の過伸張を伴うストレッチ
解答解説
正解は1. 体位排痰です。
Guillain-Barré症候群では、末梢神経の障害による四肢麻痺や呼吸筋麻痺が特徴的です。人工呼吸器管理下では、呼吸筋の麻痺により分泌物の排出が困難になり、肺炎や無気肺のリスクが高まります。そのため、この時期の理学療法として体位排痰を行い、気道クリアランスを確保し、肺合併症を予防することが最優先となります。
各選択肢の解説
- 体位排痰(正解)
体位排痰は、分泌物の排出を促し、肺の合併症を防ぐための重要な理学療法です。この患者では呼吸筋麻痺があるため、特に優先されるべき介入です。正答です。 - 痙縮の抑制
Guillain-Barré症候群では筋力低下が主体であり、痙縮は通常みられません。このため、痙縮の抑制は不適切です。 - 体幹の漸増抵抗運動
漸増抵抗運動は筋力を増強するための方法ですが、重度の麻痺がある急性期には実施できません。筋力が回復してから段階的に行いますが、この時期には適していません。 - 上下肢の高負荷の筋力増強運動
急性期のGuillain-Barré症候群では高負荷運動は避けるべきです。過度の筋力増強運動は、疲労や筋損傷を引き起こし、症状を悪化させる可能性があります。このため、不適切です。 - 上下肢の過伸張を伴うストレッチ
過伸張を伴うストレッチは筋損傷や関節への負担を増加させるリスクがあります。この時期には適切ではありません。
ワンポイントアドバイス
Guillain-Barré症候群の急性期では、呼吸管理と合併症予防が最重要です。特に人工呼吸器管理下の患者では、体位排痰や肺合併症の予防が優先されます。また、急性期には過度の負荷を避け、リハビリは症状の安定後に段階的に開始することが原則です。